ダンジョン攻略前の夜の出来事
テスト残り二日(泣)
あれから二週間たった。
結論から言うと優也の天職は分からずじまいだった。
色んな努力はしたのだか表示される気配は微塵もなく取り敢えずは他のことを頑張ろうと錬成の技能を高めることにしたのだった。
錬成の技術はその世界の人が驚くほどの勢いで上昇していった。
まず使い方で言うと石壁を作ることにした。鋼のがつく錬金術師を思い出して欲しい。イメージはそれをするようにして最初の頃は縦横1m弱の壁しか作れなかったが鍛錬を積むことで縦、2.5m、横、3m程の壁が作れるようになった。
この事で防御には少し役立つようになったので実戦にも使えるように鍛錬を続けた。
それ以外にもその過程で壁を作ってからの分離が出来るようになったので石球を作れるようになって牽制手段が増えた。
そして優也は分離が出来るなら武器を作れるのでは?と思ったので分離してから形を整えて剣を作って見たがこれは成功とは言い切れなかった。
刃が鋭く出来なかったのだ。
剣を作ったとしてもそれは切るというより抉るといった言い方があっている、なので実戦では剣を作る事が出来ないのでそれならばとハンマーを作るとこれは上手く行った。
しかし、また問題は出る、これが重いのだ。
石で作ったので重さは凄いことになっており優也の筋力では振る事が出来なかった。
なので錬成の技術を上げる過程で筋力も上げる努力として毎日筋トレを欠かさなかった。
周りの反応は予想通りだった。
鍛錬に励む優也を見てクラスメイト、特に千智との仲を羨む男子は優也の事を馬鹿にしたり度々ちょっかいを仕掛けて来る奴もいた。
しかし、大体のやつが失敗に終わる、ちょっかいをかけようとする度に千智が間に入りうがー!って怒鳴るのでやろうにもやれなかったのだ。
しかし、優也はやっぱり守られてばっかりは性に合わなかったのでだから錬成の技能があれほど上がることになったのだ。
現在クラスメイト全員はあの大広間に集められていた。
ダンが生徒達全員が見渡せる所に立つと声を張り上げる。
「お前達の技術も上がってきたことだから明日からは実戦訓練に入ろうと思う、ここの近くにあるユリアス大迷宮と言う所だ、各自明日に備えて体を休めること、以上!」
あれから優也は一人部屋で鍛錬を重ねていた。
鍛錬を重ねる事が日常になっていたので毎日決まった時間に行うようにしていたのである。
腕立てや腹筋、素振りなどを一通り終わらせてベッドにどさっと倒れこんでから自分のステータスプレートを眺めて見る。
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上木 優也 レベル4
カッコの中は?????時表示
筋力 100 ()
耐久 50 ()
敏率 60 ()
体力 100 ()
魔力 60 ()
魔耐久 20 ()
天職 ?????
スキル
錬成 ?????
派生スキル
分離錬成 錬成速度上昇 錬成強度強化
錬成範囲拡大 錬成可能物質増加
言語理解
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最初に比べるとかなり上がったがレベル1の時の修斗よりまだ低い、しかし戦えないというほどではないので明日にかけることにした。
少し時間は早いが優也は明日に備えて寝ることにした。
寝る支度をしているとトントンとドアが叩かれる音がして誰だと思っていると。
「ゆう君、起きてる?」
「千智か、いいよ入って」
「ありがとう」
千智が部屋に入ってくるその胸には枕を抱えており格好は白いパジャマを着ていて大きいのか裾を折っている。しかしある一部分だけはきつそうにその存在を自己主張していた。
「どうしたんだ?」
「えっと...一緒に、寝ていいかな?」
「何故に?」
「明日が不安で一人じゃ眠れなくて、ダメ?」
ここで千智の涙目、上目遣いのお願いが炸裂する。幼馴染である以前に千智は美少女だから優也は断ることも出来ずただ赤面してそっぽを向きながら自分の隣を叩くしか出来なかった。
千智はそれに笑顔になりいそいそと優也の隣に入り込んで満足そうに微笑む。
「一緒に眠るのっていつ以来だっけ?」
「6年ぶり位」
「そんなに経ってたんだね」
「ん...」
優也は何か気恥ずかしくなってそっぽを向きながら寝転ぶ、すると後ろから千智が抱きついてくる。
背中に柔らかい感触が伝わってきて思わず体を硬直させて千智の方を顔だけ向けて見てみると背中に千智が顔をうずめていた。
「どうしたんだ?」
「怖いの...」
「明日のダンジョンがか?」
「うん、もしかしたら、死んじゃうかもしれないし、本当に、何かあったら」
千智はやはりダンジョンが怖いらしい、仕方ない、ただの女の子だったのが突然異世界に連れて来られて戦えと言われたのだから、これまで耐えただけでも凄いだろう。
優也は千智の心情を理解して、そして決心して千智に告げる。
「なら俺が守ってやる」
「え?」
「俺が、千智を守ってやる」
「でも、そうしたらゆう君が」
「お前治癒師だろ?なら俺が傷ついた時は千智が癒してくれればいい...
それに」
「それに?」
優也は振り向き千智の目を真っ直ぐに見ながら言葉を続ける。
「こっち来てから千智に守ってもらってばっかりだったからな、そのお返しだ」
「ゆう君...私...」
「いいよ、それに俺も守られてばっかりはなんだし、男だからな、守ってやってなんぼだろ?」
優也が少しカッコつけながら言うと千智は笑い出してしまう。
「なんだよ、なんで笑うんだよ?」
「いや、ゆう君カッコつけるからなんか笑えてきちゃって」
「なんだよ、恥ずかしいじゃねぇか」
優也はまた恥ずかしさでそっぽ向こうとすると千智がまた抱きついてきた。
「ありがとう、ゆう君、もう大丈夫」
「そっか」
「でも...」
「でも?」
千智は少し頬を染めて回している腕に力を入れて優也を上目遣いで見つめる。
「今だけ、こうさせて?」
それから優也は千智のお願いを断らないで千智が寝るまでその髪を撫でてあげていた。
千智が腕の中で眠りに着いたのを確認すると優也は千智に囁きかける。
「必ず、守ってやるからな...」
夜は更けて、そしてダンジョン探索当日、皆はやる気をみなぎらせその足をダンジョンの中に踏み込んで行く。
リア充爆発しろ的な展開
次はダンジョン攻略、そして少し話が進展