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魔獣を従えし英雄  作者: 神原 優仁
第2章
29/30

冷酷な正義を成す

遅くなりました、すみません!

毎度のように遅れて、謝って、またか、と思う人もいると思うのですがこれからもこの作品を見てらもえたら嬉しいです。

 その男達は商品(・・)を積荷に載せて森の中を馬車で疾走していた。

 野蛮な見た目の男は隣にいる痩せギスの男にガハハと笑いながら話しかける。


今回(・・)も上手くいったなぁっ!」

「そうだな、これで一儲けだっ。まあ、数はすくねえけどな」

「仕方ねぇさ。それより、俺はこの金を使って、女を抱くとするかな。商品を傷物にはできねえしな」

「盛りやがって。じゃあ、俺は飲みに行くとするかね。パーって使ってやろうじゃねぇの」


 この男達はある村からある者達を攫い、奴隷として売る人族だ。それは人の中の条約では決められていない合法的な商売として決められてしまっている。

 そう、この男達が攫ったのは魔族だ。魔族は人として扱われずに人族の間では魔物の進化した者達として扱われてしまっている。

 そして、聞くに耐えない話を男達はしながらも獣道を馬車は走り続けた。

 そんな馬車の前にふらっと人が現れた。それに驚いた馬は嘶きながらも急停止する。それに合わせて男達も前のめりに倒れ込む。

 急停止して鼻頭をぶつけた男達は低い唸り声をあげながら痛がりながらも馬車の外に顔を出す。


「っ……!なんだってんだゴラァ!」

「お前かっ!いきなり馬車の前に出てきやがったのはっ!」


 その男達は突然現れた人物に罵声を浴びせながら武器を手にして馬車から降りる。

 フードを目深にかぶったその人物は底冷えするような怒り染まった声を発する。


「お前ら、その中の子達を解放しろ」

「あぁん?何言ってんだお前は?」

「聞こえなかったのか。次はないからな、もう一度言うぞ。その中の子達を、解放しろ」


 フードの人物は聞こえやすいように声を区切り、男達に注告を添えながら告げる。

 だが、男達はその注告の声に首を傾げる。それどころか何かがツボに入ったのか、笑い始めてしまう。


「うひゃひゃひゃっ!何言ってんだよお前っ」

「この中には魔物(・・)しかいねえよっ!」

「だからその中の子達と言われてもねぇ」

「というか、そう言うお前はなんだぁ?こいつらの同類なのかぁ?」

「ありえるな、おいお前!そのフード外してみろやっ!」


 男達は口汚い言葉を喚きながらフードをかぶった男にそれを脱げと騒ぎ始める。


「それが、お前達の答えなのか」


 その時、何処までも底冷えするような声が聞こえたと同時にその男達の命運は定まってしまった。

 フードを被った男から人とは思えない程の威圧が放たれる。それは絶対的強者が放つプレッシャー。

 もはや物質を伴ったその威圧はそれを放つ男のフードを外すに至る。

 その男の髪は余分な色を極限まで省いたかのように純粋な銀色。

 その男は優也だ。

 優也の目は髪と同じ銀色に光を放ち猛獣のように細められている。

 そして、男達が声を発するよりも早くその横を一筋の銀色の風が過ぎ去っていった。

 優也は一拍後に男達の後ろに現れて腰に差していた鞘に剣を収める。

 鞘と刀が打ち合った音を立てた瞬間、男達は崩れ落ち、手と足を片方ずつ欠損することになった。

 それも傷口が火であぶられたかのように焼けただれているのだ。

 この世界の回復魔法を持ってしても最早繋ぎ直すことも絶望的である傷だ。


「これはお前達が"殺した人達"の負った傷だ、そして……」


 優也は手を上げると何かを操るように指を動かし始める。

 優也から溢れてくるプレッシャーに男達は声が出ずにただそれを静観することしか出来なかった。

 すると、遠くから血に飢えた獣達の声が響いてくる。

 優也は風の魔法を無詠唱で操り、男達の血の匂いを辺りにいる魔物に届けたのだ。


「これがお前達の末路だ」


 そう言うと優也は風の魔法を操り男達の体を浮かび上がらせる。

 最早、死は目前の男達は涙を目に浮かび上がらせながらも無様に声にもならない命乞いを叫びつづける。しかし、その声は優也には届く事は無い。

 そして、指揮棒を振るうように手を前に出すと男達は空にその身を踊らせることになった。


 優也は溜息を吐くとその場から背を向けて歩き出す。

 優也が千智達を連れてこなかったの理由はこの冷酷な所を見られたくなかったからだ。

 特殊スキル"無名の英雄"を得たことにより人々を救いたいと言う気持ちが生まれたと共に、悪は討つべし、それならば必要悪を躊躇わず冷酷な正義を成そうという考えが優也の中には生まれていたのだ。

 遠くで獣の雄叫びと人の叫び声が聞こえて来たが最早優也はそれに耳を傾ける事はなくに馬車に向かって目的を果たすことにした。


 馬車に向かい、後ろの扉に付いている施錠を剣を少し薙ぐだけで切り落とす。

 施錠の意味すらもなさなかった物を取り払うと優也はその扉を開ける。錆び付いた蝶番から音を響かせながら扉は開かれ中を顕にしていく。

 そして、優也が目にしたのは身を寄せ合い体を震わせている二人の少女達だった。



◆◇◆◇



その頃の千智達はと言うと。


「ゆう君どうしたんだろ」

「優也は自分の正義を成しに行ったのじゃろうな」


リユはなにか知っているかのように一人頷いていた、その事に千智達は首を傾げるがリユは曖昧に誤魔化してその場にいるように千智達を取りまとめていた。



今回、優也がした事を後に千智達が知ったら果たしてどうなるかは今はまだわからない

今回は二人の少女が登場しました。

この二人の少女の片方は前に匂わせたかと思われる発言があります、その発言を書いたのは前過ぎると思うので覚えているかは分かりません。

取り敢えず、この娘達がどう活躍していくか、この作品がどうなっていくか。亀の歩みですがどうかこれからもこの作品を生暖かく見守ってくださいm(_ _)m

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