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魔獣を従えし英雄  作者: 神原 優仁
第2章
27/30

これから

サブタイトルがもう適当です、はい。

サブタイ地味にめんどくさいです……

あと、暫く自分の書き方を模索するためにこの章ではキャラごとの視点を主に書いていきたいです。


-side千智-


ゆう君がとうとうバジリスクを倒した。

あんなに歯の立たなかった相手をゆう君1人で倒したのだ。

そのことを認識したはいいが私はひとりその場に座り込みながら頬を染めていた。

私を抱きしめる腕、身近に感じる体温。

そして、昔から私を安心させるために向けてくれた微笑み。

その全てを今思い出して悶えてしまっていたのだ。

やはり、ゆう君は凄い。

今まで私が守らなきゃ守らなきゃと思ってたのが馬鹿らしくなって来る。

やっぱり、私は守られていたのだ。

どんな事があってもゆう君は私を守ってくれる。

それはリユ達も同じ。

だから、嫉妬心から来る独占欲など、なんて醜かったんだろうと思いもした。

これまで通りで良いのではないか。

だけど、これからはゆう君に守られるだけではない。

私だけでは力不足だろうけど、幸いなことにここには私と同じ気持ちをゆう君に抱く仲間がいてくれる。

だったら、独占欲なんてもう忘れてしまおう。

今すぐは無理かもしれないけど徐々に無くしていこう。

リユ達がゆう君に抱く自分の気持ちに気づいた時はその背中を押してあげよう。

そう考えると肩に乗っていた荷物が降りたような気がした。

でも、取り敢えず今は愛しのあの人に駆け寄ろう。

無くしたくないあの温もりに抱きつきに行くために、バジリスクを倒したところに目を閉じて立っているゆう君にいち早く駆け寄って抱きつこう。

あの子達の気持ちを許容すると言ってもこの一番の座は譲れない。

今も小さな独占欲は可愛らしい主張をしながらも私の中に残っているけどこの位は許してもらえるだろう。





-side優也-


どうにか千智達を宥めることに成功すると何処からともなく疲労がやってきた。

なんで、こんなに疲れることになるのか自問自答してもしょうがない所だろうなと取り敢えず諦めることにする。


「優也、あの者を解き放ってくれて、本当にありがとう」

「いいんだよ、俺もあいつの気持ちわかるし、だから気にしないでくれ」


リユが再びお礼を言ってくるのでそれに答える。

本当、俺はあいつの気持ちがよくわかる。もし、リユや千智達がかつての魔従師達のような目にあったら迷うことはないだろうと思うからだ。

しかし、許されないのは黒ずくめだ。

どんな事があってもそいつだけは倒すと心に誓った。

一つの信念を決定付けていると千智がおそるおそるという感じに訪ねてくる。


「ねえ、ゆう君」

「ん?なんだ?」

「さっきのあの瞬間に何があった下記になるけど……まずはその髪はどうしたの?」


千智に言われて自分がどんな状態なのか気になったので水属性や光属性を使った無駄に高等技術で擬似的な鏡を作り出してそれを覗き込んで硬直してしまう。

さっきまでの戦闘では気にすることも出来なかったが落ち着いた今では自分に起こった変化を落ち着いてみることが出来た。

そう、髪が俺の魔力の色、銀色に変わっていたのだ。


「あぁ、これってあれの影響だな、絶対」


俺の呟きに対して千智と3人の魔物っ娘達は首をかしげる。

それに対して俺はあの一瞬で起きたことを語ることにした。

アスフィルとの邂逅、この世界の現状、新たに手に入れた力などを。

一通りの説明を終えるとまずはリユが確信をつくような質問をしてくる。


「優也は、どうしたいのじゃ」


リユのその美しい紅の瞳が俺のことを射抜く。じっと見られることになったが、それに対する答えなど決まっていた。

あの扉を開いた瞬間から、いや、更にもっと前から決まっていたのかもしれない。


「俺は、この世界の人たちを救いたい」


それは偽善なのかもしれない、同情から来るものなのかもしれない。

だけれど、救けたいと思ったのだ。

意味もない争いなどなくしたいと思ったのだ。

だから、答えなど既に決まっていた。

そう答えるとリユは満足そうに頷き微笑む。


「うむ、それでこそ優也じゃな」


その時の微笑みに少しドキッとした。いつも天真爛漫な笑顔を見せるリユがたまに見せる微笑み、それは相対するものを魅了する魔性の魔力があるのかもしれない。

見蕩れていると横から千智が介入してくる。


「はいはい、見つめ合うのはそこまでだよゆう君!」


プリプリと怒りながら俺達の間に手を差し込んで間を作る。それは前までのような若干寒気を感じさせるような奴ではなく可愛らしい嫉妬心から来るものであり、前の千智の小動物っぽさが戻ってきたような気がしてなんとなく笑ってしまった。

笑い出すと千智が何笑ってるのぉ!とプンプンと怒りながら俺の胸を叩いてくる。

ごめんごめんと謝りながら頭を撫でで上げると少し頬を膨らませていたが腕を下げるとお許しくれた。

どこからどう見てもバカっプルでご馳走様ですなやり取りを傍から見ていた3人が飛びかかってくるのは言うまでもなかった。






「話が進まないから離れてくれ!」

「す、すまぬ」

「ごめんね、ゆう君」

「申し訳ございません、ご主人様ぁぁ」

「ごめんなさい、お兄ちゃん」


再び千智達を剥がすのに苦労して更に、ここは私が責任を取って!とこの世界にないであろう切腹をし始めようとする困ったワンコを止めるのに更に時間を消費してやっとのことこれからどうするかの話が進む。

幸いなことにバジリスクを倒したことによりこの広間の奥に転移魔法陣が出現したらしい。

それに乗ればこのダンジョンのバジリスクと邂逅した所かそれとも全く別のところに出ることになるかもしれない。

けれどもやっとのこと外に出れるのだ。長いダンジョン生活にも終止符が打てるのだからそれで良しとしよう。

そして、今の議論と言うとこれからの身の振り方だ。

俺達の力は恐らくだがとてつもなく強い。

千智の回復能力は凄まじいものだし、リユは言うまでもない、ユキもその身体能力は目を見張るものがある。

サキは千智にも匹敵にする回復能力がある。癒し能力もあるしな!(兄バカ発動中)俺に関しては限界突破してしまっている。

そして、決まった方針はと言うと。


「取り敢えず、これからは自重することにしないとな」

「そうじゃなぁ、目に見える力は崇拝の元にもなるが問題の元でもあるからのぅ」

「問題は起こしたくないねー」

「自重いたします!」

「お兄ちゃんがいうなら……頑張る」


取り敢えずは力の誇示は控えることにする。

そして、もう一つはと言うと。

これに関しては俺の信念に巻き込む形になるが、この世界の人達を助けることだ。

悲しむ人を出したくない。

守れるものがあるならこの手で守りたい。

それは無名の英雄がもたらす感情かもしれないが一度決めた信念は曲げたくない、そう思った。


まず、リユと共にバジリスクの骸を灰にして集める。

集めた理由はこのような所で残すのは可愛そうだと思い、これから向かおうと思っているある場所に埋葬してやろうと思ったからだ。

バジリスクを焼いている時にふと横を見るとリユはバジリスクから上がる炎の光に照らされながら目の端に一筋の涙を流していた。

それは悲しみからくるものではなく、この世界を去ったかつて、加護を与えたであろう者を思って流した涙だろう。

だからこそ、その涙は綺麗だった。

他者を思い、流す涙はこれほどまでに綺麗なのだと、その時の俺は思った。


バジリスクを焼き、ここにはもう、用はなくなった。

あとは外に出るだけだ。

長い戦いも終わり、外への希望を胸に転移魔法陣に乗る。

そこに待つのは希望か絶望か。

その結果を知るものはいない、神にさえ予測不可能だろう。

だけども、俺は思う。

俺には頼もしい仲間がいてくれる。

どんな壁に突き当たってもみんなで乗り越える事が出来るのだと。

自然と皆は手を繋いでいた。

光に包まれながら、固く結ばれたその手は離れることなく繋がり続けた。













守る守る守る、守る為に倒す。

憎き魔族を倒す。


黒ずくめとの邂逅のあとの修斗は一つの執念とも言える信念に取り付かれていた。

それは人族を守るために悪しき魔族を刈り取るのだと言う信念。

修斗の中に少し残っている感情がそれは間違っているのでは、全てを助けてこそだと、訴えかけている。

だけれど、その感情は薄暗い何かに遮られて矛盾した感情も生み出していく。

争いをなくすにはどうするのか、諸悪の根源の魔族を殺せばいい。

魔族を殺す必要性などない、全てを救うんだ。

せめぎ合う感情に耐えながら修斗は今日も苦しむのだった。

祝ユリアス大迷宮から脱出!

時間が立ちすぎて名前忘れてる人もいるでしょうが一応ユリアス大迷宮と言います。

これからもこの作品を生暖かく見守ってくださいm(_ _)m

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