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魔獣を従えし英雄  作者: 神原 優仁
第1章
26/30

バジリスク討伐終了、そして……

目を閉じたままそこにいると後ろから千智が優也に抱きつく。


「ゆうぐん〜〜〜」

「うおっと」


突然のことに姿勢を崩しそうになったがそこはなんとか踏ん張って千智を支える。

優也が千智の顔を見ると千智の目は真っ赤に泣きはらしていてとてつもない泣き顔になっていた。


「ごわがっだよぉぉぉ、ゆうぐんがこのままいなくなっちゃうかも知れなくて怖かったよぉぉぉぉ」

「ごめんな、心配させて。でももう大丈夫だから、俺はいなくならないから……俺は、ここにいるから」


優也はそこに感じる暖かさを離さないためにギュッと少し強く抱く。

それに返すように千智はまだえぐえぐとしているがしっかりと抱きつき返した。

暫く2人だけの時間を過ごしていたが視線に気づき、優也は顔を上げるとそこには好奇心に目を輝かせる2匹の魔獣がいた。


『ご主人様があんなに熱烈な抱擁をするとは……う、羨ましい……』

「私もああいう感じにお兄ちゃんに抱かれたいなぁ……」


気まずくなった優也は千智の肩を叩いて離れるように促す。

その時に千智は周りの状況に気づいたのか顔を真っ赤にしながらおずおずと離れた。

さて、これで落ち着いたかなっと一息つこうとしたらさらに優也に抱きつくちまっこいのがひとり。

そう、リユだ。


「優也よぉぉぉー!良くやってくれたぞ、これであやつも報われる!」

「分かった、分かったから取り敢えず一旦離れてくれ!」

「嫌じゃ!私は決して離れないぞッ!」

「ちょっ、本当にお願いだから離れてください!」


二人でもつれ合ってると残りの三人少女も何故かうずうずし始めていた。

嫌な予感がすると優也は冷や汗を垂らすと痺れを切らしたのか先陣を切ったのはユキだった。

魔獣化を解き人の姿になると千智に負けず劣らずの胸を優也に押し付けてくる。それに続くようにサキ、千智と優也に次々とガバチョっと抱きついて行く。


「ご主人様ぁぁ!!!私も甘えたいです、かまって欲しいですぅぅぅ!!!」

「お兄ちゃん、私も甘えたいのっ!」

「ゆう君ー!!!」

「優也よぉぉぉー!」


三人の美少女達にもみくちゃにされながら優也は困ったように声を張り上げる。


「だから、離れてくれぇぇぇー!!!」


優也の叫び声は誰にも届かず洞窟の中でむなしく反響していくばかりであった。

ダンジョンの中で繰り広げるようなことではないと誰もが思うであろうことは間違いない。









同時刻、ダンジョンから遥かに離れたある山の木の上でのこと。

月の光に照らされながら黒ずくめのそれは木の上で座り込んでいた。


「へー、バジリスク(あいつ)やられてしまったか。遊び道具がひとつなくなって少し残念かも」


そこにいる"黒ずくめ"の男は全く持って残念そうではない、むしろ新しい玩具を見つけたとばかりの楽しそうな声を上げる。


「面白そうだし、少しばかりと干渉するとしようかな」


男は徐に手を持ち上げると掌に魔力を集めだしなにやらし出す。

指をピアノを弾くかのように華麗に動かしていると男から漏れだしていた深淵のように何処までも暗い魔力がバチッと白い光にはじかれる。

その白い光に手を焼かれた男は痛くもないだろうに手をぶらぶらとしてから呟く。


「ふーん、これは駄目かな、"あの子"が目を付けてるらしいしね……まあいいか。私にはもう一つの玩具があるから」


そう言いながらもう一つの玩具を思い出して薄らと不気味に笑う。

男の口はまるで空に浮かぶ月のように引き裂け、けたけたと笑い続けた。






さらに同時刻、精霊の森と呼ばれる神域ではバジリスクが討伐されたのを確認して騒然としていた。

あの災害とも言うべき魔物は神にをも匹敵するとされていた事から倒されることもないだろうと思われていたのだ。

しかし、今こうして、討伐された報告が来たのだ。

それも、倒したものが"かつてのバジリスクと同じ存在"なのだから。

その事実を受けて精霊達は歓喜に震え上がったものだ。

人ならざるものと対話出来るものが再び現れたのだから。

精霊は分類で言うと魔物にも人にも分類されない一つの存在。

しかし、人と対話するには言語が違う事や人の意思の共鳴率の低さからまず無いとされていた。

その共鳴率が高いものが精霊の加護を授かることが出来るのである。

だか、魔従師となると話は変わってくる。

魔従師は魔物と会話することが出来る、そして、それは精霊も変わらないのだ。

精霊は好奇心旺盛と言われているが正にそうなのだ。

加護を与えるのも暇つぶしのための気まぐれ。

だが、魔従師は対話ができるのだ、出来てしまうのだ。好奇心旺盛ないい遊び相手が出来たと盛大に喜んだ。

その時の精霊の森は光に溢れ様々な虹彩が飛び散り幻想的な世界だったとそれを目撃したものは後に語る。

それはまるである者のこれから訪れるであろう苦労を表しているようでもあった。


それを王の座から見渡していたこの世のものとは思えないほど美しい精霊王は苦笑しながらも訪れるであろう者を楽しみに待つことにした。

あわよくば、加護を与えた"闇に落ちてしまった者"を救うために力を貸すことも考えながら。

ぶるるっっ

「どうしたの、ゆう君?」

「いや、なんか寒気が」





取り敢えず、これで第一部完としたいと思います。

作っていて自分でこれでいいのかと思いますけどこれででよいのだ!と某バ〇ボンパパのように前向きに捉えるようにしたいです。


優也達がこれから通るのはどのような道になるかを作者の貧弱な執筆力で頑張っていきたいです。出来れば、圧倒的に少ない文字数を増やしていこうと思います……これは深刻な問題だと自分でも実感しています……

どうか、これからも生暖かく見守ってください。

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