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魔獣を従えし英雄  作者: 神原 優仁
第1章
19/30

最後の階層、そして衝撃的な再開

遅れてすみませんでした!

アクシデントがあったが優也達は今最後の階層へと繋がる扉の前に立っていた。


「さ、さあ行くぞ!」


優也はそんな中顔を赤くしながら先陣を切って扉に手をかけようとしてる。


「お、おー!」


その後ろで千智は顔を赤くしながら手を上げる。

あの温泉での出来事を覚えているらしく大胆なことをしてしまったと後で悶えていたのは記憶に新しい。


「これからが正念場じゃからな!気を引き締めて行くのじゃぞ!」

「頑張りましょう優也様!」

「頑張ろうね、お兄ちゃん!」


反対にリユ達は覚えているのだが恥ずかしいとはこれっぽちも思っていないらしく80階層を前にしてテンションが高い。


いつもと変わらないその態度に優也と千智は顔を見合わして笑う。


「気にしちゃダメだな」

「だね、気にしちゃダメだね」

「ああ、だから今はこの先にある、最後の階層に向けて頑張ろう!」

「うん!」


そして優也と千智は最後の扉に手をかけて少しずつ力を込めて開く。


扉を開き切るとそこには奥が一切見えない広大な空間が開いていた。


そこらじゅうに"蛇の抜け殻"の様なものが転がっていてパサパサと干からびてるものや少し鮮度が保たれてる新しいものがある。


そしてその抜け殻は何処かで見覚えのある顔でもあった。


「まさか、これって…」

「ゆう君も気づいた?」

「ああ、これってあれだな…」


優也と千智は声を揃えてその因縁深き相手の名を呼ぶ。


「「バジリスク」」


そうこの抜け殻はかつてのバジリスクと同じ鱗、そして同じ顔まさにバジリスクなのだ。


「なんでこんな所に抜け殻あるんだろうな」


そう言って優也は近くにあった比較的"新鮮"なバジリスクの抜け殻らしきものの目につんと指を触れさせる。


すると…


ビキビキビキ…


変な音が辺りに響き渡ったので首を傾げる。


「ん…?」


ギョロッ


抜け殻と目が合う。

それは紛れもなく生きてるバジリスクであった。


「…………」


……………………………


優也とバジリスクの間になんとも言えない沈黙が漂う。

そしてその沈黙を優也は我慢しきれずに破ってしまう。


「……え?」


シュアァァァァッッッッ!!!!


優也の間抜けな声を開戦の狼煙にバジリスクは叫びをあげてその身に纏っていた殻を破り新たな鱗を晒して行く。


その大きさは前にあった時よりもっと大きく、見上げるほどの大きさになっている。


そしてバジリスクはとぐろを巻きながら周りに"鱗"の破片を浮かべさせて待機状態にする。


それに優也は嫌な悪寒を感じたので直感に任せてリユに声をかける。


「リユ、龍化!」

「了解した!」


そしてリユを銀色の繭が包みほどけて行くとそこにはリユが龍バージョンの姿で立っていた。


そしてリユの変身が終わったと同時"鱗"の掃射が開始される。


ヒュンヒュンヒュンッッッッ!!!


風を切る音を響かせながら優也達をその大きな身で包むリユの元に鱗が飛ぶ。

そしてリユに当たると。


ガギーン!!!


金属と金属の擦れ合うような音が辺りに響く。


リユのステータスは簡単に表すと耐久、魔耐久に優れている、つまりリユは優也を除いたメンバーの中で一番硬く、そして大きくもなれるのだから防御に適しているのだ。


「ユキ、次あれが止んだ時魔獣化して俺を乗せてあいつまで走ってくれ!」

「承知しました、優也様!」

「千智とユキはここで回復役、んでリユは二人を守ってくれ」

「分かったのじゃ、気兼ねなく行ってくるんじゃな!」

「ああ、頼んだぞ、リユ!」


優也は簡単に作戦を説明してからリユと軽くハイタッチする。


魔獣化したユキに跨り準備万端とばかりに優也は貫通特化の光属性剣、聖剣を肩に担ぐ。


千智が優也の服を引っ張る。


振り向くと千智は戦場に恋人を送り出す時の心境の目で優也を見つめていた。


「必ず…戻ってきてね?」

「…ああ、必ず戻ってくる、だから千智は待っててくれ」

「そう、なら頑張ってきて!」

「ああ!」


千智が背中を押すと同時銀色の鱗の弾幕が止む。


「行くぞ、ユキ!」

『はい!』


そして優也を乗せた巨大な狼の姿のユキは空気を踏み駆け出し始める。


一瞬でその場から掻き消え空を走る、走り去ったところには影が置き去りにされて残像が残る。


そして最後にユキが大きく跳躍すると優也は"空歩"を発動してバジリスクの頭上に行き聖剣を振り下ろして叫ぶ。


「貫け、聖剣!」


その叫びに呼応するように聖剣は光が増して光の刃がバジリスクを切り裂かんと伸びる。


対してバジリスクはその手を掲げ糸も簡単に防ぐ。

そしてその勢いのままバジリスクはその腕を優也に振るってくる。


「ちっ、炎帝、盾!」


そう叫ぶと優也の周りを火が包み一部分に凝縮して盾の形状を取る。


その部分にバジリスクの手が触れると灼熱の炎に熱されて流石のバジリスクも暑かったのか悲鳴を上げながら手を引っ込める。


「もらいました!」


そしてしたの方からはユキが人化した状態で爪を伸ばし"空歩"で駆け上がり顎を狙いその爪を突き刺す。


しかし、やはりというかその爪が貫けたのは少しだけでたいしたダメージを与えられたわけではない。


「ユキ、行ったん引くぞ!ちょっと目瞑むれ!」

「了解しました!」


ユキは言われたとおり目を閉じると優也は光属性の初期魔法ライトを全開でつける。


するとあたり一帯を包む光が溢れ出す。

その光を直視してしまったのかバジリスクは目をつむり腕をめちゃくちゃに振り回してる。


しかしその前に優也とユキはリユたちの元まで戻ってきていた。


「なんかあいつ強くなってねえか?」

「だよね、私たちあれからかなりレベル上がってゆう君に至ってはレベル"100"なのに」

「ああ、なんかあいつ裏がありそうだな、ちょと待ってろ調べる」


そして賢者のスキルを発動しようとするその前にリユが声をかけてくる。


「優也よ、調べなくても大丈夫じゃよ」

「なんか分かったのか?」

「分かったというか正確に言うと"知っている"の方が正しいのじゃよ」

「知っている?」

「そうじゃ、あのバジリスクと言う名のものはのう」


リユは一拍置いて衝撃的な事実を言う。


「あやつはかつての魔従師の成れの果てじゃよ」

多分次で迷宮攻略はあと2〜3回程になります。


今後ともよろしくお願いします。

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