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魔獣を従えし英雄  作者: 神原 優仁
第1章
15/30

ロリっ子増えました

他人の家に預けられた子猫のように隅っこでウサギはガタガタと体を震わせている。


さっきまでマンモスに追いかけられていたということもありあらゆるものが怖いのだろう。


「ほ〜れ、草だぞ〜、食わないのか〜」


優也が草をゆらゆら揺らしながらウサギに来い来いと促すと警戒心を多少滲ましているが鼻をひくつかせながらその草に噛り付く。


やはりと言うか優也の懐かれスキルは健在だった。


千智やリユ、ユキなどには警戒心MAXだったのに優也には多少で済んでる所がその差を歴然と表している。


優也は言語理解のスキルを発動しながら真っ白なウサギに話しかける。


「何があったか話せるか?」


その声にウサギは体をビクッと震わせるが潤んだ目で優也を見つめる、その目はいじめない?と悠然に語っていたので優也は微笑んであげると少しウサギは落ち着いたのか話し始める。


『そ、その…遊んでいたら気付いたときににあの大きいこわいのの上で飛び跳ねていちゃったらしくて、それで怒らしちゃったの』

「そうか、まあ、あの怖いのはあのお姉ちゃん達が倒してくれたからな安心しな」

『もう、こわいのいないの?』

「ああ、もう大丈夫だ」

『そう、な、のよかっ、た…』


そこで緊張の糸が切れたのかウサギは優也の腕の中で安心したかのようにスースーと寝息をたてながら眠りだす。


「寝ちゃったね」

「だな、取り敢えず食べ物でも取り行くか」

「うんそうしよ、リユとユキはそのウサギちゃん見ててくれない?」

「承知しました!」

「早く帰ってくるのじゃよ〜」


優也と千智は二人で食料を取りに行きリユとユキは二人でウサギの面倒を見始める。

その間洞窟の中にはウサギ安らかな寝息が響いていた。








『ん、んぅ』


そんな可愛らしい声を上げながらウサギは眠気まなこをこすりながら起きる。

寝起きのため意識はぼんやりとしているが何か暖かいものに包まれている感覚がある。


「おっ、起きたか」


ウサギを抱いていたのは優也だ。

あぐらをかきながらその足の上にウサギを乗せて優しい手つきで頭を撫でてやっている。その手つきにまたウサギは眠りそうになるが何やら美味しい匂いがしてきてその匂いの元を辿るように鼻をひくつかせる。


その匂いの元のところには美味しいそうな赤い果実や草など色々と食べ物が置いてあった。

その横で千智やリユ、ユキは優也の作り出した料理道具で調理を行っている。


「あ、ちょっと待っててね〜、あと少しで出来るから」

「ああ、でもその先にっと…なあ?」

『な、なに?』


優也にいきなり尋ねられてウサギは体をビクッと震わせる。


「俺たちと一緒に来て見ないか?」


そして優也が尋ねた内容は自分たちと一緒に来いという内容だった。

優也はこのウサギが何かほっとけないというか、守りたくなると思っていてこのような危険なところにいるより自分たちについて来てもらった方が安全だと判断したからだ。


『え…なんでなの?』

「いやまあ、なんかほっとけないというか、それにお前ここで一匹で生きていけるのか?」

『それは、多分無理かも…あんな怖いのとかがまた出たら…』


そういって体を震わせる。

優也はその恐怖を払うように優しくウサギを抱く。


「ああ、だから俺たちと来ないか?俺たちならお前のことも守ってやれるから」

『本当?』

「ああ、だから俺と、契約しないか?」

『契約って?』

「簡単に言うと俺に仕えるって事だけどお前はそんなに戦いには慣れてないだろ?なら俺たちについてくるだけでもいいから」

『そ、それなら…でも私本当になにも出来ないよ?』

「何もできなくていいから、それにこんな深い階層にいるならばそれそうおうの力をお前も持ってるはずだ、だからその時になったら頑張ればいい」


優也がそう言ってにかっと笑うとウサギはじゃあ…とおずおずと言った感じに答えを出す。


『私も着いて行く、今はまだ弱いけどお兄ちゃん達に守られるだけじゃなくなりたいの!』

「そうか…それじゃ契約だな」


ウサギが何故こうも優也の事を信頼出来るかというと先程助けってもらったということもあるが自分の事を弱くないと頭ごなしに否定されなかったことや、そして優也の優しさに触れたからだろう。


「そんじゃ少し毛を拝借」

『ふえ?』


いきなりナイフを錬金した優也に狼狽えた声を出すウサギにお構いなく優也はウサギの毛を少し切って少し躊躇ってからその口に含む。

するとウサギは優也との間に何か繋がりが出来たような感覚がするがそのことなどすでに頭の中になかった。契約と言われてどのようなことをするのかと思っていたら毛をいきなり口の中に含んだのだから。気が弱いウサギはだからこうするしか出来ない。


『ふえぇぇーーーー!!!!?』


狼狽えた声を上げることだけだ。









『ひっく、ひっく、うぅぅ』


暫くして少し落ち着いたのかしかしそのあと割に合わない大声をあげていたことに気付いてそのことが重なり恥ずかしくなって泣き出してしまったのだ。


「ごめんごめん、契約の仕方言わなかったのは悪いって」

『もう、いきなりあんなことしない?』

「ああ、しないしない、でもこれからもう一つやる事あるからそれは了承して欲しい」

『?何するの?』

「俺たちについて来るのなら魔物の姿のままじゃいけないからな、これからお前に人化の魔法をかける」

『人化?お兄ちゃん達と一緒になるの?』

「そうだ、だからこれからやることを怖がらないでくれよ」

『うん!分かった!』


そして三度目になる人化をする。

三度目になるともう慣れたものでスムーズに詠唱を終わらせる。


そして詠唱が終わったそこにはアルビノのような白さを誇る白い髪の上に可愛らしい長いうさ耳をぴょこぴょこさせているいわゆるロリっ子がやはりというかそこにユキの時と同じように"裸"で座り込んでいた。


「えーと、あべっ!?」

「はーい、向こう向いていてねゆう君!」

「お兄ちゃん!?」


もう定番になっている千智が優也の首を捻る。その事にウサギだった少女は驚いた声をあげる。

その事を気にしないで千智はその手にこれからユキと同じことがあるかもと先読みしていたらしくその手にはこれまでの魔物から剥ぎ取った毛皮や優也の作った針、安全クリップを使ったりしてウサギに服を作り出してあげる。


「はい、これで大丈夫っと」

「ありがとう、お姉ちゃん、でもお、お兄ちゃん大丈夫なの?」

「大丈夫、大丈夫、ゆう君はこれくらいじゃへこたれないから、まあ、悪いとは思うけど…」


そこには手をピクピクと震わせている優也が横たわっていた。優也の頭をリユは指でツンツンとつついている。ユキに関しては耳をピコピコと揺らしながらアワアワとあっちにいったりこっちに行ったりしている。


「お兄ちゃん〜!」


そしてウサギが優也に駆け寄るとその指の先に白い光を宿して優也に触れる。

するとその光が優也を一瞬包んだかと思うと優也はその首の痛みがなくなっていく。

そして暫くすると優也はその体を起き上がらせる。


「今、何やったんだ?…えーと、まずはそれより名前つけねえとな、呼びにくい」

「ふえ?」


優也は少し考え込むとウサギの頭を撫でながらその名前を言う。


「サキ、サキはどうだ?単純だけど可愛いだろ?」


そう言うとウサギ改めサキは名前をつけてもらえたのが嬉しいのか花が綻ぶような微笑みを浮かべて元気良く頷く。


「うん!」

サキ


単純な名前の付け方はご了承下さい。


さてサキが仲間に入ったことで魔従できる限界になりました。


サキは一見弱そうですけどやはりというか能力に特殊なところがあります。そうしないと優也がこれからチートになれないのでw


取り敢えずは次回優也を軽く無双させたいです。


不定期更新になるかもしれないですがこれからもこの作品を生暖かく見守ってください

m(_ _)m

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