不老不死の世界
こんにちは。大藪鴻大です。
今回は、会話のみで構成された物語に挑戦してみました。ただ単に、執筆する時間がないからという理由があったりなかったり(笑)。
今回の他愛ない会話は、私が物語にしようと考えていた設定が出てきたりします。会話をする二人がどんな人物なのか、あえて描写しません。二人のキャラクターを想像しながら読んでみてください。
それでは、よろしくお願いします。
「不老不死になる方法があるんだが、聞きたいか?」
『賢者の石でも手に入れるんですか?』
「人の脳をそのままデータ化して、コンピュータに取り込むんだよ。」
『何かの映画でも見たんですか?先生、影響受けやすいですからね。まるで、小学生みたい。』
「データだったら、死んでも復活する。ゲームと一緒だ。死んでも、最初から。面倒だったら、途中から。ゲームの主人公のような生活も実現可能だ。」
『そもそも、脳をデータ化することが実現不可能な気もするのですが。まあ、仮に実現したとしても、データだって破損しますよ。』
「そうか?最近じゃ昔と違って、そう簡単に破損するイメージがないのだが。バックアップだってあるだろうし。」
『情報量が果てしなくなりそうですが、と言っても無駄な気がしてきました。それで?』
「そう!情報量は果てしなくなるだろうから、どんなに科学が発達しても、それなりに大型のコンピュータが必要になるだろうな。そこで、問題になるのは、情報を処理しているそのコンピュータそのものの護衛だろうな。それが破壊されると、みんな消えてしまう。」
『そうですね。どうするんですか?』
「だから、そのコンピュータの管理者が必要になる。つまり、デジタル世界の住人と、今私たちが生きている世界の住人とに別れることになる。」
『ぜひ、私はデジタル世界の住人にしてくださいね。』
「それは、私が決めることじゃないさ。ただ、そこで格差が生まれてしまうのは間違いないな。でも、それも最初のうちさ。」
『住めば都ってことですかね。でも、不老不死はともかく、なんでも思い通りのデジタル世界の方が、誰にとっても魅力的だと思うのですが。』
「そうじゃない。そのうち、ロボットがコンピュータの護衛をしてくれるようになるさ。デジタル世界から遠隔操作して、護衛するんだ。」
『初めから、そうすればいいじゃないですか。』
「それで、もし遠隔操作が上手くいかないことが発覚したら?もう、我々はコンピュータを守れなくなる。だから、初めのうちは人を残しておく。」
『じゃあ、その人たちもそのうちデジタル世界にお引越しできるんですね。』
「それまで、生きていれば、な。なあ、そこにドラマが生まれそうじゃないか?その事実に気がついた人々が憤りを覚える。ときには、謀反を起こすかもしれない。それに対して、デジタル世界の住人も遠隔操作のロボットで対抗する。どうだ?面白そうじゃないか。」
『なぜ、人類は生まれたのか。それは、無機物の生命体を生み出すためだった。もし、そんな世界になったら、生物は有機物から無機物に移行しますね。地球史で最も大きな変化のひとつになりそうです。』
「そのキャッチコピー、いいね!実は、タイトルまで考えているんだよ。『サイバーサイド』と『サイバーサイダー アウトサイダー』のどっちがいいと思う?」
『それよりも、今書いている作品書き上げてくださいね。それじゃ、私はこれで。』
「ちょっと待った!」
『なんですか?』
「今の話、君が書いてくれないか?」
『嫌です。誰か他の人に頼んでください。』