絵本
ふと思って今日は学校で絵本を読んでいました。
教室で普通に読んでいたら、雪ちゃんがやって来て「桃色君はまだ絵本を読むんだな」とバカにしていきましたが、笑って返しました。
あとからやってきた月ちゃんが「小雪が失礼なこと言っていませんでしたか?」と尋ねますが、首を振って否定します。
「桃さん、何読んでいるんですか?」
「絵本だよ。図書室にあったから借りてみたんだ」
「絵本……ですか」
月ちゃんが微妙な顔をしますが、何かを振り払うように首を振ってから「どうして絵本なんですか?」と尋ねてきました。
あたしは少し考えてから、答えます。
「昔、あーにぃと図書館に行ったときに、あーにぃが絵本を読んでいたんだよね」
「桃さんのお兄さんがですか?」
「その時に、何で読んでいるかあたしも訊いたんだけど、答えの意味が良くわからなくて」
「答えの意味が、ですか?」
月ちゃんが困った顔をしますが、あたしもどう説明したらいいか分かりません。
仕方がないので、ありのままを話したら、あたしの言葉の意味だけは分かってくれたようです。
「だから、あーにぃが何が言いたかったのかなって思って読んでみてたんだ」
「何か分かりました?」
「分からなかったけど、小さい頃に何となく読んでいたときと違って、何が言いたいのかなとか考えるようになって面白いよ」
月ちゃんに絵本を手渡したら、月ちゃんも真剣に絵本を読み始めました。




