クラス替え
「三月に入ってもうすぐ卒業式ですね」
「中学に入学してから、もうすぐ一年なんだね」
昼休み、ほのぼのと月ちゃんとおしゃべりです。
月ちゃんと出会ってもう一年たちますが、もっと昔からこうしていたような気がします。
「もうすぐ二年生になりますが、クラス替えがありますよね」
月ちゃんが少しだけ元気なさそうに話します。
気持ちはわかりますが、決まっていない事を考えても気が重くなるだけなので、あえて元気に応えることにしました。
「クラス替えってどうやって決めるんだろうね」
「………だと思います」
「月ちゃん?」
急に月ちゃんの声が低くなりました。
正直、少し怖いです。
「先生が楽できるように、です」
「どうしてそう思うの?」
「……私、小雪とクラス離れたことないんです」
月ちゃんが今まで見たことがないくらい必死な声を出します。
あたしはそれになにか応えることができなせんでした。
「いえ、正確には私が小雪の相手をしはじめてから、一度も、です。
いっそ、最初からずっとなら諦めがついたのに、あからさますぎてもう……」
ここから先は「中学校はきっと違うよ」と慰めつつ、月ちゃんの愚痴を聞いていました。




