沸かす
「そう言えばこの家ってお風呂どうなっているのかしら?」
「えっと、普通に脱衣所があって、お風呂場があって、湯船があって。
あたしは足を伸ばして入れますけど、ねぇねやあーにぃは難しいと思います」
ねぇねの質問の意味を理解しきれなかったので、とりあえずお風呂について説明してみました。
しかし、やはりと言うべきでしょうか、ねぇねが考えていた事とは違ったらしく、「そう言う事じゃないのよね」と言ってから、質問を追加します。
「お風呂を沸かす時って、自動なのかしら?」
「はい、そうですね。スイッチ押したら沸きますよ」
「まあ、そうよね。良い家だもの」
「ねぇねは違うんですよね」
聞いた記憶はないですが、この流れだと違うだろうなと思って先に言ってみました。
どうやら正解だったらしく、ねぇねが羨ましそうにあたしを見ます。
「蛇口をひねるだけじゃなくて、お湯が出る方と水が出る方とをバランスよく回さないと、熱くなりすぎたり、冷たかったりするのよね。
しかも、季節とか周りの水の使用状況とかで勝手が変わってくるのよ」
「大変ですね。どうやっているんですか?」
温度計とか使っているのでしょうか?
あたしの予想とは違い、ねぇねはスッと手を見せました。
「手で何となく温度を計っているわね。
ちょうどいい感じに加えて、たまに熱い位のお湯が出ているくらいがベストかしら」
「なんだか職人みたいですね」
「これで、十中八九くらいの精度があればいいんだけどね。
ちょうどいい位に収まるのは半々ってところかしら」
ねぇねは「まあ、大体はシャワーで済ませるから構わないんだけどね」と諦めた声を出していました。
自動湯沸かし機が欲しいです(切実




