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万分の一
今日は朝から雪ちゃんが何か言いたそうにうずうずしていました。
こちらから聞こうかなとも思ったのですが、何だかタイミングをうかがっているようなのでいつ言ってくるかなと思いながら待ってみる事にします。
雪ちゃんが動いたのは昼休み。
休み時間に入ると同時にあたしの所にやってきました。
「桃崎これを見てくれ」
「これって?」
首を傾げたあたしに、雪ちゃんがグイっと手を見せてきます。
親指と小指だけを曲げているのですが、これが何かあるのでしょうか?
「桃崎もやってみてくれ」
「親指と小指だけを曲げたらいいの?」
「大体そんな感じだ」
言われるままにやってみようとするのですが、出来ません。
やろうとすると、薬指まで一緒に曲がってしまいます。
「出来ないだろ。出来るのは千人に一人とか一万人に一人だからしいぞ」
「そうなんだ、凄いね」
人数を聞くと確かにすごいと思います。
雪ちゃんは続いて冬ちゃんにも「凄いだろ」と自慢をしたのですが、冬ちゃんは真面目な顔をして「で、何の役に立つの?」と返していました。




