偶然
「自意識過剰と言うか、妙な偶然ってありますよね」
「その二つを言いかえるっていうのはなかなかないと思うけど、確かにどっちもあるよね」
自意識過剰をあると言い切ってしまうのはちょっと気が引けますが、外で手を振っている人を見たら一瞬自分の事かなと思うくらいには自意識過剰だとは思います。
「月ちゃん、何かそう言う事があったの?」
「そういう事ですね」
「どんな事?」
あたしが尋ねると、月ちゃんは携帯を取り出して操作し始めます。
それから画面をこちらに見せました。
有名なSNSなのですが、月ちゃんが指さしているのは仕様変更と書かれた連絡事項です。
「仕様変更って、ルールが変わるみたいなものだよね?」
「えっと、少し違う感じもしますがそんな感じでしょうか……
ともかく変更になったんですが、この変更ずっと私がとやかく言っていた内容だったんですよね」
「月ちゃんが言っていた通りに仕様が変更になったって事?」
確認のために訊き返してみると月ちゃんは頷きます。
「運営も見ていないとは思うんですけど、私の発言を見た上でやったのかななんて思ったりするんですよね」
「まあ、月が不満だったって事は同じことを思って連絡したって事じゃない?」
冬ちゃんが言った言葉に、月ちゃんはとても納得したような表情を見せました。




