自然災害
「言っていいのかはわからないんだけど、適度な自然災害って大事だと思うのよね」
「ここ以外だと言わない方が良いな。理由を訊かれるより前に批判が来そうだ」
「あんたは理由を訊いてくれるのね」
「訊いてないけどな」
きっと”適度”と言う所が大事なのでしょう。
お兄ちゃんは本当に訊かずにどこかに行ってしまいそうだったのですが、それよりも早くねぇねが理由を話しはじめます。
「一人暮らし、と言うかいくら家族でも離れて暮らしているとなかなか連絡ってしなくなっていくのよ。
連絡が無い事が元気な証拠っていうけど、それとこれは違うわけよ」
「で、連絡しなくなる事と自然災害とどう関係してくるんだ?」
大きく息を吐いて、面倒くさそうにお兄ちゃんが尋ねます。
話を聞く気があるのなら、邪険にしなくても良いと思うのですが、ねぇねも今更気にしないのですから。
「単純に連絡するきっかけにちょうどいいのよ。
大丈夫だったのかって一文だけだけど、きっかけさえあれば積もる話もあってね」
「なるほどな。つまりお前が親不孝者だって事か」
「否定は出来ないけど、私だけじゃないと思うわよ?」
お兄ちゃんは最後のねぇねの言葉には何も返さず何処かに行ってしまいました。
こんなふうに言っていられるうちが華。




