事故
「交通渋滞ってあるだろ?」
「雪、急にどうしたの?」
「いや、この前事故があったらしくて交通渋滞に捕まってな。一時間くらい立ち往生したんだ」
「雪、立ち往生なんて言葉知ってたんだね」
何か嫌な予感がしたのか、冬ちゃんが雪ちゃんの話を露骨に逸らします。
逸らされた雪ちゃんがしばし立ち往生について話した後で、また渋滞に戻ってきました。
「で、渋滞の話だ」
「覚えてたんだね」
「確か、五キロの渋滞で一時間待たされたんだよ。これって、損失いくらなんだろうな」
冬ちゃんが考えたくないって顔しています。
代わりに適当な計算になりますが、あたしが答えてみる事にしましょう。
「えっと、仮に車一台の長さを5メートルで、車と車の間を前後1メートルだとすると、一台当たり7メートル必要って事になるよね。
五キロだと、えっと……」
急いで計算をして続けます。
「一車線714台くらいで、仮に二車線あったとしたら1428台。中に二人いたとしたら2856人になるよね。
一人当たり時給1000円だとしたら、一時間で2856000円の損失って事になるのかな?」
「あくまで、五キロの渋滞の最後尾だったとしたら、何だよ。桃」
「そっか、また後ろにも車が来るのか」
そう考え始めると、果てしなくなりそうで大変です。通りで冬ちゃんが嫌そうな顔をしたわけです。
「なるほどなー。事故渋滞で事故原因に損失分払えってならないわけだ。
1000円くらい貰えるかなと思ったのに」
雪ちゃんは何だかせこいようですが、そうもいっていられない問題でもあるんだろうなと思いました。




