表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
83/1000

言い伝え

 夏に比べるとだいぶ日が落ちるのが早くなり、何となく秋だなという感じがしてきました。


 そんな秋の夜の話です。あたしがお皿洗いを終えリビングに戻るとお兄ちゃんが爪を切っている所でした。


 そんなお兄ちゃんの姿を見ながらふと、夜に爪を切ってはいけないという言葉を思い出したので「あーにぃ、どうして夜に爪を切っちゃいけないの?」と尋ねてみました。


 お兄ちゃんは爪を切りながら答えます。


「夜に爪を切ると親の死に目にあえない、なんて言われたりするわけだが、親の死に目にあえないって事はつまり親よりも早く死んでしまうってわけだ」


 それだけ聞いてもお兄ちゃんが言おうとすることが分からないのであたしは首をかしげながら聞きます。


 お兄ちゃんはこちらを向いていないのであたしの反応は解らないはずですが、そのまま続けました。


「要するに、夜に爪を切ると死ぬようなことにあうって事だな」


 それを聞いてあたしは少し怖くなり「あーにぃ今爪切ってて大丈夫なの?」と尋ねます。


「まあ、今のは嘘なんだが」


 お兄ちゃんはそんなことをしれっと言うので、思わずあたしは「あーにぃ」と声をあげました。


「本当は昔は夜は碌な明かりもなくて、そんな中で爪を切ると危ないとか、変に切ってしまうとかそんなところだろう」


「じゃあ、今は切っても大丈夫って事なの?」


 お兄ちゃんの言葉を聞いてそう返すと、お兄ちゃんは爪を切る作業をやめ、あたしの方を向いて言います。


「さあ、どうだろうな」


 そういって爪切りに戻ったきりお兄ちゃんは何も言わなくなってしまいました。

今は大丈夫だからと忘れていってもよろしいものか

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ