スライサー
今日はねぇねが一緒に料理をしたいという事で、キッチンに二人います。
何だかそれだけで楽しい上に、ねぇねの手際が結構いいので結構楽です。
「やっぱりねぇねもおうちで料理してたんですね」
「妹ちゃんほどじゃないけどね。……ねえ、妹ちゃん」
急にねぇねの声が真面目になったと同時に、ジャーっと水を流す音が聞こえてきました。
ねぇねにはスライサーで人参を薄切りにするように頼んでいたのですが、終わったのでしょうか?
「ちょっと、絆創膏もらえないかしら?」
「怪我したんですか!?」
「うん、血はつかないように気をつけたからその辺は安心してね」
「は、はい」
妙にねぇねが落ち着いているので、大したことは無いのでしょうか?
絆創膏を取りに行く途中でチラッとねぇねを見たのですが、なんかすごい血が出ていました。
だから急いで取りに行って戻った時には、片手でお湯を沸かしながら、怪我したほうを水につけていました。
「ねぇね、何やっているんですか。早く指見せてください」
ねぇねの手を掴んで、消毒して絆創膏を貼ります。
すぐに、絆創膏のガーゼ部分が真っ赤になりました。
「いやあ、やっぱりスライサーって慣れないね」
「なんでそんなに冷静なんですか? こんなに血が出ているのに……」
「何か、自分が怪我した時って変に冷静になるのよね」
んー……分かるようなわからないような。
隣でやかんの水が沸いていたので、火をとめます。
「えっと、このお湯は?」
「一応、私が触った物を消毒しておこうかと」
何と言うか、本当に冷静なんですね。
おのれ、スライサー。




