表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
6/1000

名前

 今日の夕ご飯は唐揚げです。あたしもお兄ちゃんも好きなので取り合いにならないように初めから取り分けています。

「あーにぃはどうしてあーにぃなの?」

 ふと、お兄ちゃんに問いかけます。

「いや、お兄ちゃんはあーにぃじゃない」

 新事実です。

「じゃあ、あーにぃは誰なの?」

「渡辺洋一郎という」

 お兄ちゃんはさも当然のように言います。あたしびっくりです。何故なら……

「あたしと苗字も違うの?」

 あーにぃはお兄ちゃんじゃなかった事件です。ショックです。

「嘘だ」

 お兄ちゃんが真顔でそう言います。あたしは怒りたくなるのと同時に少し安心しました。

「嘘吐きはドロボーの始まりなんだよ?」

 やっぱり怒りたかったのでそう言います。

「そうだな」

 お兄ちゃんはそう言ってあたしの唐揚げを一つヒョイと取ってしまいました。

「あーにぃっ!」

「ま、ドロボーだし」

 あたしは頬を膨らませます。

「大人は汚いよっ」

「そうだな」

「あーにぃがお兄ちゃんじゃなかったらよかった。あーにぃは本当にあたしのお兄ちゃんなの?」

「残念ながらな」

 お兄ちゃんはそう言うとスッとあたしのお皿に唐揚げを二つ乗せました。

「むー…あーにぃがお兄ちゃんでも嫌じゃないもん……」

 何故かその二つの唐揚げはほかのものより美味しかったです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ