表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
37/1000

大人

「あーにぃ、ねぇね」


 ある日あたしはこんな風に二人に尋ねます。ねぇねには敬語を使わないといけないと思うと、少しどうやって話せばいいのかわからないのですが、それならいっそのこと敬語で話してしまえと思い口を開きます。


「二人はいつ自分が大人だなって思いましたか?」


 あたしの言葉に二人は意識をあたしの方に向けて、お兄ちゃんは見た目適当に、ねぇねはオーバーアクションで考え始めます。


「また、子供だって馬鹿にされたのか?」


 お兄ちゃんが質問の答えとは違うことを聞いてきてあたしは思わず「う……」と言葉を詰まらせてしまいます。


 確かにこれを聞いたのは今日もまた友達に小さいからと子ども扱いされたからですが、わざわざそれを聞かなくてもいいと思うのです。でも、聞かれたからには何かしら返さないといけないので仕方なくうなずきます。


「妹ちゃんは小さくてかわいいだけじゃなくて、しっかりしてて素直でかわいいってのに」


 あたしが頷くとなぜか少し残念そうな声で首を振りながらねぇねがそういいます。その言葉が子ども扱いされているような気もするのですが気のせいでしょうか。


「それで、どんな時なんですか?」


 話が逸れ始めたと思いもう一度たずねます。


「私は普通の歯磨き粉を使い始めたときかな」


「歯磨き……」


 ねぇねの答えにあたしが思わず言葉を失うとお兄ちゃんが「それじゃあ、今までどうしてたんだよ」と尋ねます。


 ねぇねはどこか無邪気に、でも楽しそうに口を開きます。


「使わなかったか、イチゴ味とかメロン味とか使ってたかな」


「それをしてたのは何歳までなんだ?」


「この間。初めて使ったときは涙が出るくらい辛かったんだけど、最近はようやく慣れてきて、これが大人ってやつかな~って」


 そういってねぇねがいい笑顔を見せるので、お兄ちゃんが何も反応しなくなってしまいました。


 あたしとしても予想外すぎて、反応することができなかったので「あ、あーにぃはどうなの?」とお兄ちゃんに話を振ります。


「俺はそんなこと考えたこともないな」


「うー……」


 お兄ちゃんからの答えも全く参考にならず思わず拗ねたように唸ってしまいました。


 でも、お兄ちゃんはそんなあたしの頭の上に手を置いて


「まぁ、妹が子供なのは間違いないしな。それに子供のうちに子供らしいことをやっておかないと大人になって後悔するぞ」


「妹ちゃんはそういうことが聞きたいんじゃないと思うんだけどね」


 ねぇねがコロコロと笑いながら言った言葉はまさにその通りなのですが、それならばもっと参考になるような話を聞きたかったというのが正直なところでした。

気が付いた時には大人とカテゴライズされていました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ