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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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忘却

 あたしは割と本を読むことが好きだと思っています。しかし、本当に本が好きな子と言うのは朝学校に来る道、夕方学校から帰る道でも本を読み家でも本を読むという徹底ぶりなので、それと比べるとまだまだなのですが。


 ともかくあたしは本を読むのが好きです。特にファンタジーや学校が舞台になっている話が好きです。


 その中で順位を付けることは難しいのですが、何作かは特に気に入っている本があり何も見なくてもその本のあらすじを説明できる自信があります。


 さて、今日もねぇねは家に来たのですが、いつもよりも遅く休みだと言うのに夕方くらいにやってきました。


「今日は遅かったんですね」


「友達とカラオケに行っていてね。その帰りなのよ」


 ねぇねはそう笑顔で返してくれましたが何処か浮かない顔をしているように思います。


 それがちょっと気になったので「何かあったんですか?」とあたしが問いかけると、ねぇねは少し不思議そうな顔をしてそれから納得したように話し始めました。


「そのカラオケで、小さいころに見ていたアニメの歌とかも歌っていたんだけど、どうしてもその内容が思い出せないものがあってね」


 「確かに昔は大好きだったはずなんだけどね」と少し寂しそうな顔をしているねぇねにお兄ちゃんが言います。


「十年以上も前の事を全部覚えている方が難しいだろ。それに少し見たら思い出すかもしれないし、本当に忘れているのならもう一回ちゃんと楽しめてお得だと思うけどな」


「まあ、それもそうなんだけどね」


 ねぇねは何処か納得がいかないと言った顔でそう返していました。




 それから、ふとねぇねが居ないところでお兄ちゃんに尋ねてみました。


「あーにぃもアニメソング歌うよね? ねぇねみたいな事ってないの?」


「無いな」


「どうして?」


「お兄ちゃんの場合、曲しか知らないって作品が結構あるからな」


 「そっか」とその時には返したのですが、どうやったら曲だけ知っていることができるのでしょうか? 実は忘れてしまっていることを忘れているんじゃないのかと少しだけ考えてしまいます。

 自分は曲だけ知っている派。あと内容をよく忘れている派。そして歌詞を全然覚えていない派。


 そんなことは置いておいて、好きで欠かさず見ていて、自分の中でも上位に食い込むほど面白かったと思っているはずなのに、断片的にしか思い出せないってなんだかとっても切ないなと思った次第です。

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