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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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音と映像

 春休みに入りましたが、まだ普段の土日とあまり変わらないなと思っていたある日の事です。


 ねぇねと一緒にテレビを見ていると、ふとねぇねが「そう言えば」と話始めました。


「この間何となくテレビをつけていると、昔はまったゲームの最新作のコマーシャルをやっていてね。たった30秒程なのに一気に引き込まれて、ちょっと買ってみようかななんて思っちゃったのよ」


 「まあ、買えるほど余裕はないんだけどね」とねぇねは付け加えましたが、なんだか少し興味が出てきました。


「どんなゲームなんですか?」


 そう尋ねると返ってきたのはあまりゲームを知らないあたしでも聞いたことがあるようなゲームでした。


「何がそんなに良かったのかはわからないのよね。映像と音楽しかないようなコマーシャルだったんだけど、ボケーっと見ていたはずなのに気がついたら少し前のめりになっていてすっごくワクワクしてたのよ」


 そう言って笑うねぇねの顔はなんだか子供っぽくて、でもとても楽しそうでした。


 それから、ねぇねは少し考えるような顔をします。


「それで、ふと思ったのよ。人間が感動するために最低限必要なものってなんだろうって」


「感動するのに、必要なもの……ですか?」


 あたしが首を傾げると、ねぇねは「難しいわよね」と笑いました。


「やろうと思えばその辺に転がっている石でも感動できるだろう」


 あたしたちが座っている後ろで話を聞いていたお兄ちゃんが、急にいった言葉にあたしはさらに混乱してしまうのですが、ねぇねもそうらしく「どう言うことなの?」と尋ねていました。


「きっと、石に感動できる人にはただの石には見えていないんだろうな」


「あんたっていつもそんな感じよね」


 お兄ちゃんの言葉にねぇねはため息混じりにそういいますが、あたしだけ置いていかれているこの感じもいつも通りな気がしました。

 必要なのは意味だと思います。

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