500円
「今日ちょっとコンビに行ってみたら、またコラボ企画をやってたのよ」
「そういや、前やってた時も気が向いたように何か買ってたな」
家に来たねぇねが珍しくビニール袋を提げていたと思ったらコンビニで何かを買っていたみたいです。
「まあ、こういうのはやらないと楽しくないからね」とねぇねが妙に楽しそうにしているのは企画が嬉しいからでしょうか?
「内容としては対象商品を含む500円を……ってやつなんだけど、前回の規格の事を思い出したわ」
「何かあったんですか?」
ねぇねは聞いてほしそうに言っていましたが、恐らくお兄ちゃんは何も聞かないのであたしが尋ねます。
ねぇねはお兄ちゃんを少しにらんでからあたしに笑顔を向けてくれました。
「前回最後の買い物の時にね、軽く計算しながら500円は超えるなって思ってレジに商品を出したの。それなのに、何かのキャンペーンで飲み物が20円引きになっていたらしくて結局489円だったのよ」
「うわぁ……」
思わず声が出てしまいましたが、何というか災難だったというか……あたしはかける言葉が見つかりません。
「それでなんでそんなにうれしそうなんだ?」
お兄ちゃんがそう言ったのでねぇねの方を見てみると、あまり悲しそうな顔をしていませんでした。
「それがね、今日はぴったり500円だったのよ」
ねぇねがそう言って見せてくれたレシートには確かに500円と書かれていました。
驚きました。




