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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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ニンジンと馬

 一冊の本を読み終わってパタンとあたしは両手で本を閉じます。


 どんな本でもだいたいそうなのですが、読み終わると何とも言えない感動を覚えるのと同時に、果たして自分は今のままでいいのかと考えてしまいます。


 物語の主人公達のように、何かをやらなくちゃと思って仕方なくなります。


「ねぇ、あーにぃ」


 あたしは、この感覚に耐えられなくなって口を開きました。


「どうした、妹よ」


 お兄ちゃんからは何時もの返事が返ってきます。


「毎日、毎日同じことしてて良いのかな?」


 あたしの言葉にお兄ちゃんは首を傾げて考えます。


「何かやりたいことでもあるのか?」


 お兄ちゃんに問われ考えてみますが何も思いつきません。


「無いけど……何もしなくていいのかなって。何だか無駄じゃないかなって……」


 この気持ちをどういったらいいのか解らなくてあたし自身意味のわからない言葉を口にしてしまいます。


「例えば何かしたとして、妹は何が目的なんだ? 未来の幸せとかか?」


「たぶん……」


 自信もなく答えます。


「だったら、何かやりたいことがあるなら兎も角、無いんなら明日は幸せが来ると思いながら1日過ごせばいい」


「明日幸せにならなかったら?」


「明日、『明日は幸せになる』と思いながら過ごせばいい」


 お兄ちゃんの言葉に首を傾げます。それから思いついたイメージを口に出します。


「何かニンジンを目の前にぶら下げられたら馬みたいだね」


 お兄ちゃんは一度キョトンとして、それから「それもそうだな」と、笑っていました。

すべての幸せは向こうから来るわけではないですが、半分くらいは向こうから来るんじゃないかと思います。


幸せに成りたいけど、どうしたらよいのか解らず空回るよりは、解るまで寝て待ってみるのはどうでしょう?

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