表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
241/1000

ボールペン

 今日家に帰ると、ねぇねがテーブルの上を睨みつけていました。


 それでもあたしの姿を見ると「お帰り妹ちゃん」と声をかけてくれます。


 あたしもそれに「ただいまです」と返してからねぇねに問いかけました。


「何しているんですか?」


 ねぇねはすぐにはあたしの質問に答えてはくれず、少ししてからこちらを向いてから答えてくれました。


 その顔はどこかやりきったと言った表情です。


「ちょっと、ボールペンで書かないといけない書類の下書きをしてたのよ。薄く書かないと後から消えないから神経使っちゃって」


 笑顔で言うねぇねを見ていると、それがいかにた変だったのか分かるようです。


「紅茶でも飲むか?」


 そんなねぇねを見てか、珍しく気の利いた言葉を言います。


 ねぇねは特に怪しむ様子もなく「頂戴」と言ってテーブルにパタリと倒れました。


 あたしもお兄ちゃんに紅茶を入れてもらい――とは言っても、あたしはミルクティーにしてもらいましたが――一息ついてからもう一度ねぇねがテーブルにある紙と睨めっこを始めました。


 それから約二十分と言うところでしょうか、ねぇねの叫び声が聞こえてあたしは驚いてしまいました。


「どうしたんですか?」


 あたしが尋ねると、ねぇねは少しの間放心したように何も言わず、それから涙目であたしの方を見ます。


「手が疲れたから少し休憩してたんだけど、休憩開けてボールペンを使ったらインクの出が悪くて悪戦苦闘しているうちにね……」


 そう言って見せてくれた紙のボールペンで書かれてある所の最後の文字は少しだけ二重になっていました。


「あんたが珍しく私に気を使ったから~」


 ねぇねの逆恨みが部屋に響きましたが、お兄ちゃんはまるで知らん顔をしていました。

 今日のボールペン様は機嫌が悪い

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ