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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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団体競技

「受験は団体競技だ。なんて高校の時言われなかった?」


 ある日やってきたねぇねが、挨拶もそこそこにお兄ちゃんにそう言いました。


 お兄ちゃんはお兄ちゃんで特に表情を変えることなく「うちの高校はそうでもなかったが、まあ、言いたいことくらいは解るな」と言います。


 受験と言うとあたしが一番近いところだと高校受験でしょうか? 中学受験はするつもりもありませんし。でも、受験は一人で行う物じゃないでしょうか?


「察しの通り周りと切磋琢磨が云々ってやつで、要するにモチベーションを上げようみたいな話なんだけど、私の高校は特にその色が強くてね」


 あたしが聞かなくてもねぇねがあたしの疑問に答えてくれました。あたしもテストの後なんかはクラスの子と点数を教えあったりします。とは言えあまり難しくないので皆ほぼ満点の時もあるくらいですが、自分だけ点が悪いと確かに頑張ろうという気になります。


「勉強合宿とかもやったりしたんだけど、その時にね絶対一日二回は質問に来るようになんて言われてたのよ」


「それが嫌だったわけか」


 お兄ちゃんの言葉にねぇねが少し困った顔をして「嫌って言うか……まあ、嫌だったんだけど……」と曖昧なことを言います。


「どうしても一人でやりたかったのよね。やるなら、個別じゃなくて皆で一緒にやってほしいのよ。個別でわからないところを聞いた方がこっちには良いってわかっててもね」


 それからお兄ちゃんが何かを言う前にねぇねは「せめて、そんな人間がいるって事だけでもわかってて欲しいのよね」と言いました。


「分かってはいるんだろうけどな。でも、やる気のある声の大きい奴の事に目が向くのは仕方ないだろ」


「世の中って上手くいかないものよね」


 そう言ってねぇねは深いため息をついてしまいました。

 放って欲しいわけではないけれど、こちらからは行きにくい。面倒くさいと思うかもしれませんが実際にこういう人だっていてしまうのです。


 いてしまうんですよ……はあ……

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