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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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トクベツ

 わたしの手元には今コーヒーカップがあります。まだ口を付けてはいませんがその中身は恐らくカフェオレか、ミルクティーと言ったところでしょう。


「秋人さんはトクベツってなんだと思いますか?」


 とある日、お姉さんはレポートがあるからと居なくて、桃が夕食を作っているのでわたしと秋人さんだけになった時、わたしはふとそんなことを尋ねてみました。


 桃が秋人さんにあれこれ質問しているのは何度も見ていましたが、わたしから質問するなんてことはなかったので秋人さんは少し驚いた顔をしていましたが、口を開きます。


「普通とは違うことだな。もしくは特に区別されるもの」


 秋人さんの口調は淡々としていて、それでいてまるで痒いところに手が届いていない回答をします。


 良くも悪くも教科書的な答えと言ったところでしょうか。


 わたしが不満そうな顔をしていたからなのか、秋人さんはちらりわたしの方を見ると「まあ、」と続け始めました。


「トクベツが知りたかったら、朝一時間早く起きてみればいいし、休みの昼間にシャワーを浴びてみるのもいい。帰り道を少しだけ変えてみればいいし、ふらりと普段は入らないような店に入ってみるのもいい」


「それが、トクベツなんですか?」


 わたしが首をかしげると、秋人さんは少し困ったような顔を見せてから首を振りました。


「そんな事を普通にトクベツだと思える人間もいるって事だ」


 そう言って秋人さんはわたしの手元にあるコーヒーカップを指差しました。どういうことなのだろうと思い、一口飲んでみるとそれはカフェオレともミルクティーとも違う何かスパイシーな感じの味がします。


「トクベツだろ?」


 後で聞いてみるとわたしが飲んだのはチャイと言うインドの紅茶だったのですが、何か上手く載せられたような気分になってしまいました。

 この世に生まれてきたことがそれだけで特別な事なんだと言うつもりは毛頭ないですが、ちょっとしたことに意識を向けるだけで特別に感じられる。それってなんだか楽しい気がしませんか?

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