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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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わさび

 夕食が終わってあたしたち――あたしとねぇねとお兄ちゃん――は、あたしとねぇねがテレビの前にあるソファにお兄ちゃんがそのさらに後ろにある食卓の椅子に座ってテレビを見ています。


 やっているのは食べ物を紹介する番組。もしもご飯を食べる前だったなら見ているだけでもおなかがすいて来そうな番組ですが、幸いご飯は食べ終わったのでゆっくりとみていることができます。


 丁度新鮮なお魚をシェフが大きな包丁で捌いているときにねぇねが何かを思い出したかのように口を開きました。


「旅行に行く時でも何でも好き嫌いは無い方がいいじゃない?」


 首を上にあげて後ろにいるお兄ちゃんに尋ねるように言うと、「まあ、もういい年だし好き嫌いとかはしてられないだろ」とお兄ちゃんの無感動な声が返ってきました。


 ねぇねは首が付かれたのか、もう首を元に戻してから続けます。


「まあ、確かにそうかもしれないけど、旅先でその土地の名産品が苦手で食べられないって言うのは少し嫌じゃない? 喫茶店に行ったらコーヒーを頼みたいとかもあるかもしれないし」


「給食を食べるときも好き嫌いない方が毎日楽しいかもしれないですね」


 あたしがそう言うと、ねぇねは少しうれしそうに「でしょ?」と返してくれました。


「それで、それがどうしたんだ?」


「私も大学生になって苦手かなと思っていたものにいろいろと挑戦してみて、好き嫌いは置いておいて絶対に食べられない物はないかなって気がしてたのよ」


 それはつまり、大人になると好き嫌いが無くなるということでしょうか?


 でも、この話口からして全てがと言うわけではなさそうです。それからねぇねが「それでこの間回転ずしにね……」と言ったところで何となく理解してしまいました。


「友達と行ったときに、一回一回注文するのも面倒だなと思って回っているお皿を取ってたのよ。一皿目はどううまくいったのか、思っていたよりも普通に食べることができたんだけど二皿目以降……ね」


 ねぇねは詳しく話すことはありませんでしたが、ねぇねが言いたいことだけは何となくわかりました。

なまじ一皿目で成功したので、その後に必要以上にチャレンジしてしまう悪循環。

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