諦める
「諦めるって難しいと思わない?」
テーブルに頬杖をついて深刻そうな表情でねぇねがそう言います。さすがにお兄ちゃんもそんなねぇねに対していつもの対応はできないらしく「どうしたんだ?」と言う声が真面目に聞こえます。
正直それで少し安心したのは内緒です。
「私たちもそろそろ就活じゃない?」
「まあ、今一つ上の代が就活真っ只中だからな。そろそろ視野に入れてた方がいいかもな」
そう言うことだったらお兄ちゃんも同じ状況だと思うのですが、お兄ちゃんの方はあまり深刻そうに思っていないのはどういうことなんでしょうか?
「そう言うわけで、現実的に考えないといけないってことくらいわかってるんだけどね……」
「夢を諦められないってか?」
「簡単に言うとね」
ねぇねの声の元気がなくなっていきます。ねぇねの夢と言うと小説家だったはずですが、でも、今から頑張ったらどうにかなったりしないのでしょうか?
「三年になったら一度諦めてもいいんじゃないか?」
お兄ちゃんの言葉に思わずあたしはお兄ちゃんの顔を見てしまいました。ですが、ねぇねは「やっぱりそうかな」と少し力ない声を出します。
「最悪、小説にも力を入れることのできる仕事を探すべきじゃないのか?」
それを聞いたねぇねが少し吹っ切れたように「聞いてくれてありがとう」と言うとその日は帰ってしまいました。
最近こんな話ばかりなんですがいかがなものなんでしょうか?
まあ、諦めるのは難しいことです。
 




