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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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本音と建て前

「本音と建て前なんてよく聞くけど、これを免罪符に使っているようにしか思えないのよね」


 妹ちゃんが寝てしまった後、私は家主――正確には違うが――そう話しかける。


「何が言いたいんだ?」


 私が話しかけると相変わらず面倒くさそうな態度をそいつ――面倒だから秋人でいいか――はとるが、逆の立場だと似たような態度を私もとるだろうから気にしない。


 むしろ面倒くさそうにしつつも話を聞いてくれはする分私よりいくらかましだろう。


「まあ、免罪符ってまではいかないだろうけど、お互いに『建て前』を『建て前』だと認識しないと結局最初に大きく出た方が勝つと思わない?」


 そこまで言って反応を見るけれど、秋人が分かっているような分かっていないような微妙な顔をするので続ける。


「例えば本当は行きたくない飲み会に誘われて断ると雰囲気が悪くなりそうだったから建て前で行くと答えたとするでしょ? 勿論行くと言った以上行くのは当然だとしてもその飲み会では控えめに隅の方に居たいわけよ。でも、行くと言うのを本心で取られてしまったがために必要以上に飲まされて、挙句の果てに勝手に飲み会に来たかったのだろうと勝手に解釈されるわけよ」


 一通り話し終えると秋人は何処か納得のいった表情を見せ、私も言いたいことは伝わったかと少し安心する。しかし、返ってきた言葉は期待していたものの斜め上で「なるほど、そんなことがあったのか」と言ったものだった。


 まあ、確かに実話をもとにしてはいるけれど、そんな答えを待っていたわけではないことくらいこいつもわかっているだろうにとため息をついていると「でも」と言う声が聞こえてきました。


「社会なんてそんなもんだろ」


「これが当たり前だと思っていること自体どうかと思うのよね」


 そんな私の返しに「ま、一理はあるだろうけどな」と言っているこいつはきっと私の諦めなんかもわかっていたのだろうと思う。

いつもと少し趣向を変えて、ねぇね視点の対話型。


誰か私に社会はそんなところじゃないと思わせてください。お願いします。

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