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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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大富豪

 今日は雨が降っているので家でのんびりです。晴れたら畑を耕し雨が降ったら家で読書するという四字熟語ってなんでしたっけ?


「よし、妹よトランプするぞ」


 あ、晴耕雨読でした。お兄ちゃんがトランプに誘う何て珍しいです。


「いいけど、いきなりどうしたのあーにぃ」


「お兄ちゃんは雨の日は読書をしたい。だから負けた方が買い物に行く」


 あたしは首を捻ります。普段は基本的にあたしが買い物に行きますし、今日もそうするつもりでした。


 でも、お兄ちゃんが遊んでくれると言うなれば断る理由はありません。


「トランプで何するの?」


 あたしが尋ねるとお兄ちゃんは「大富豪だな」とトランプをカットし始めます。


 テーブルで向かい合わせになり、トランプを配りいざ大富豪です。


「まずはコレだな」


 お兄ちゃんはそう言ってハートの3を出します。あたしがそれを見てスペードの4を出した後、お兄ちゃんがスペードの5を出した時


「じゃあスキップでまたお兄ちゃんな」


 と、あたしの番が飛ばされてしまいました。そしてお兄ちゃんはハートの6を出します。


「次は…あたしだよね?」


 お兄ちゃんが頷くのを見て、手元のカードに目を遣ります。そんなときです。


「あ、今激縛り中だからハートの7しか出せないからな」


 言われてハートの7があるか確認しましたがありません。お兄ちゃんもわかっていたらしく既に場は流され新しいカードが…


「あーにぃ…なんで5〜7のカードがでてるの?」


「階段だからな」


「階段?」


「後7渡し、5スキップ」


 お兄ちゃんからカードを渡され、またお兄ちゃんが新しいカードの組を出します。


 そうしてよくわからないままあたしは負けていました。


「ルールがわかんない」


 あたしが半分怒りながらいうと、お兄ちゃんは


「ローカルルールってやつだな」


「あーにぃとあたし同じところに住んでるもん」


「じゃあ、ジェネレーションルールってやつだ」


 ほっぺを膨らませたあたしを気にしないかのようにお兄ちゃんが言います。あたしは更に腹を立てます。


「じゃあ、あたしにわかる訳ないじゃん」


 「あーにぃ酷いよ」とそっぽを向いたあたしにお兄ちゃんは


「じゃあ、買い物一緒に行くか」


 とあたしに手を伸ばしました。



 買い物に行く途中あたしはお兄ちゃんに言います。


「一緒に来るならあんなことしなかったら良かったのに」


 あたしはまだご機嫌ななめです。お兄ちゃんは傘を持っていない方の手で頭をかくと、傘で顔を隠して


「こうでもしないと、一緒に行かせてくれないだろう?」


 「雨降ってるのに」と言い終わってもお兄ちゃんはこっちを向いてくれませんでした。


 あたしもお兄ちゃんをみることができませんでした。

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