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妹と兄、ぷらすあるふぁ  作者: 姫崎しう
いちねんめ
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友達効果

 休み明けの月曜日。いつものように夕方には家にいたねぇねが、あたしが帰ってきたのを見つけて、駆け寄ってきました。


 その手には、ケーキや果物の、恐らく消しゴムが載せられています。


「おかえり妹ちゃん。それでなんだけど……」


 あたしのただいまよりも早くねぇねはそういうと、手の消しゴムをあたしが見やすい高さに持ってきました。


「これ欲しくない?」


「これ……ですか?」


 あたしは恐る恐るねぇねの手にあるケーキを手に取ります。思った通りそれはケーキの形をした消しゴムでした。


 そう言えば、最近学校でこういった消しゴムを持っている子が増えてきたような気がします。あたしも気にはなっていましたが、それを使うのがもったいなく、使わないなら持っていても仕方がないと買うに至ってはいませんでした。


 それから、ねぇねがうなずいているのを見て「いいんですか?」と首をかしげる。


「私が持っててもどうしようもないものだからね。これ」


「じゃあどうして持ってるんですか?」


 あたしが尋ねるとねぇねは照れたように笑います。


「昨日友達と文房具屋さんに行ったんだけど、その時にこれを見つけてね。それから、昔流行ったよねって話で盛り上がっている間に何時の間にかノリで買ってたのよ」


 「その時は面白かったんだけどね」と、そこまで言ってねぇねは一度話を区切り、唇をなめます。


「それで、家に帰った後でふと我に返ってね。だから貰ってくれない?」


 事情は分かりましたが、これをあたしが貰っても恐らく使うことはないと思います。


「友達にあげちゃうかもしれませんよ?」


 困った挙句一番可能性の高そうな結末を恐る恐るいうと、ねぇねは嫌な顔をすることなく、むしろ晴れ晴れしいくらいの顔をしました。


「いいよ、いいよ。いっそ初めから友達に配ってくれても」


 そうして、今あたしの手の上はとてもおいしそうな感じになているのですが、明日どうするか考えないといけなくなりました。

友人と一緒だとしょうもないものでもノリで買ってしまうこと。

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