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第6話:母の一番(前編)

途中、少し見苦しい場面がありますが……ご了承ください。

あと、作者自身、今回初登場の人物像がつかめてません(汗

こういう人なのだと思い読んでくださいm(__)m

次に母からの手紙が届いたのは、あの日……2度目の母からの手紙が届いてから1週間後。

それもまた今までとほとんど変わらない内容。

順番から言って今度は父さんに関係するとこかな。

となんとなく思いながら。

手紙が届いて早々にあたしたちは準備をして目的地に向おうとした。

だけど、今回、約束の時間は翌日の昼過ぎ。

だからあたしたちは、朝に出ることにした。

目的地までは車で6時間とちょっと。

かなり時間がかかる遠い所。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁー。すごい!!」

 

目的地に着くやいなやあたしと姉さんは絶叫した。

目の前に広がる広大な青い海。

少し高台にあるここから見える景色は絶景。

優しく吹く潮風が、ひんやりしていて気持ちいい。

足元には背丈の低い雑草。チラホラ見え隠れする白い花。

 

「ね、ここは父さんが母さんと来たとこなの?」

 

ふと振り返り、ただ茫然とこの自然に身をまかせていた父さんに聞く。

父さんは声が聞こえていなかったのか、返事がない。

不思議そうに思いながらもあたしはもう一度父さんを呼ぶ。

 

「……ぇ、あ…な、なんだ?」

 

我に戻った父さんは、少しびっくりしたように言った。

 

「どうしたの?何か考えごと?」

 

姉さんも不思議そうに聞く。

父さんは優しい表情で言った。

 

「いや、ただ…懐かしいなと。お前たちもこんな気持ちだったんだな。」

 

「……やっぱりここ、父さんの思い出の場所なんだ?」

 

父さんは少し考えてから答えた。

 

「……ここは、俺たち家族が始まった場所だ。」

 

……家族が始まった場所?

父さんは顔を赤らめ、口籠りながら言う。

 

「ここで……俺は…幸に………プロポーズした。」

 

………は!?ぷ、プロポーズ?

ぇ………?

あたしと姉さんは思わず顔を見合わせた。

けど、それに驚いたのもつかの間。

次に現れた人にあたしたちはもっとびっくりすることになる。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“カサッ”

 

誰かの足音がした。

あたしたちはその音の方を見る。

 

ぇ………“母さん”(?)

 

そこには女の人がいて………その人は母さんと似ている……いや、母さんそのもの。

まるで生き返ったかのよう。

しばらく、あたしたち同様、呆然と立ち尽していた父さんがついに口を開く。

 

「も……もしかして君は……。」

 

そんな言葉に女の人は優しく微笑む。

 

「まぁ、覚えていてくださったんですか?“お義兄さん”」

 

え?

“お義兄さん”って……この女の人は………

そんな疑問だらけのあたしと姉さんを無視して、父さんは女の人に言う。

 

「一瞬、幸が生き返ったのかと思ってびっくりしたよ。……この手紙は君か?」

 

「えぇ。面白かったでしょう?」

 

ゾクっ。

何故か微妙に寒気を感じた。

女の人が笑顔で言う言葉に。

あたしは父さんの袖を引っ張る。

 

「……ねぇ、この人は誰?」

 

「あ…あぁ。そうか。お前たちは初めて会ったんだな。……この人は(ケイ)さん。幸の双子の妹だ。」

 

低い声で紹介された恵さんは、さっきと変わらない笑みを浮かべて

 

「初めまして。愛ちゃんと夢ちゃんね。幸から聞いていたよりも全然違うわ。すっごく可愛い。」

 

……思うに、16になって、こんな言い方をされても、どんな反応をすればいいのか。

まるで、小学生とかもっと小さい子に言うような言い方。

とりあえず、笑顔で代返したんだけど……。

ってゆか、恵さんの笑顔が怖い。

なんとなく裏がありそうってゆーか……。

ふと恵さんは、僅かに懐かしいという表情を浮かべて言った。

 

「今までの手紙は全て私が送ったものです。けど……書いたのは幸なんです。」

 

え?母さんが?

とは思うものの、何も言葉にならなかった。

またすぐに表情を変える恵さんに気をとられてしまったから。

その表情は少し怒ったように見えた。…というか……感情的になり…

 

「なんで幸だけ……どうしてこんなバラバラで最悪な家族の中の………一番苦労した幸だけが……死ななければならないの………!!」

 

……普通なら、なんであたしたちからしたら今日、初めて会った人にここまで言われて、逆ギレしてる。

だけど、恵さんの言葉に反論しようにも反論できない。

言ってることが、あっているのだと、今はわかるから。

 

また恵さんは微笑む。怒りに狂ったような微笑み。

そして言う。

 

「ねぇ、死んでよ。幸を一人にしないでよ。ほら。ねぇ、下を見て。ここから飛び下りるだけで死ねるのよ。苦しむ間なんてないわ。ね?」

 

さぁ。

と言うように、恵さんはジリジリとあたしたちを端の方に追い詰める。

この人は本気だ。

本気であたしたちに死ねと言っているんだ。

 

かなりへっぴり腰な父さんが恐る恐る口を開く。

 

「……恵さん…じ…冗談は…や、やめ……やめなさ…ぃ。」

 

その言葉を聞いて、恵さんは足を止め、大爆笑して言った。

 

「まぁっ!心外ですわ。本気ではありませんでしたのに。」

 

は………?

……どこをどうみればアレが冗談だと……?

アレは完全に本気だったでしょう?

あたしたち父娘3人は同時に思う。

そんなあたしたちをヨソに恵さんは続けて言う。

 

「もし、あなたたちが、幸からの手紙を無視したら、私は本気であなたたちに死んでもらおうと思っていました。」

 

って恵さんは笑って言うけど、正直笑えない。

そして次はまた優しい表情をして言葉を続ける。

 

「だけど……あなたたちはちゃんと手紙に従い、幸のことを思い出してくれましたからね。…………幸が一番大切だったのはあなたたち家族なんです。たとえバラバラになってしまったとはいえ、幸はいつか、また、普通の幸せのある、温かい家族に戻ることをずっと願っていました。」

多分次話が最終話っす。ってかできたらすぐに更新しますm(__)m

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