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第2話:あたしたち家族

家に帰ると、玄関には大きな提灯がかけられてあった。

あたしはバカだから漢字が読めない。

だけど、この提灯が、“人が亡くなった”時にかけられるものってくらい知ってる。

あたしは静かに中に入った。

真夏の8月だっていうのに、妙にひんやりしてる。

ものすごく静かだ。

一番奥の和室に入ると、父親と姉の愛、それから、布団の上で、顔に白い布をかけられて眠っている人………。

あたしはそっと、その布をとる。

紛れもなく母親だ。

だけど、あたしは、“悲しい”と思えなかった。

多分それはあたしだけじゃない。

父親と愛も同じだと思う。

あぁ、本当に死んじゃったんだ。

そんな感じ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思えば、あたしたちの家族は、冗談なんか言い合えるほど、幸せな家族じゃなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父親は家族よりも仕事が一番。

古風だけど

 

「俺が仕事活費を稼いでやってんだ。感謝しろってんだ。」

 

お酒が入ると必ず言う言葉。

何万回聞かされたことか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛は愛で、勉強ばっかしてる。

一つ違いの愛は、まだ高2だってのに、大学受験にむけてもう勉強。

家にいる時はたいてい部屋に込もってたな。

同じ家にいた時もほとんど顔を合わせなかったし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あたしはあたしで、遊びまくってたし。

朝昼夜関係なかった。

何でもできる愛と、並以下のことしかできないあたし。

勉強はもちろん、スポーツだって、何をしても比べられる。

あたしはそれが耐えられなかった。

 

「愛ちゃんは、本当にいい子ねぇ。それに比べ(アタシ)ちゃんは……。」

 

「愛ちゃんの妹なんだもの。できるはずよ。夢ちゃん、もっと真剣にやって。」

 

小さい頃は、なんでもできる愛に追い付きたくて頑張ったこともあった。

けど、何をしても、どう頑張ってもムダだった。

愛は普通にやって1番をとれる。

あたしは頑張ってもビリから3番目。

だから、追い付こうとするのは止めた。

どうせ何もできないんなら……。

そう思うと、やる必要がでなかった。

中学の頃は週に一回、顔に出せばよかったかな。

今は高校に進学もせず、ブラブラしてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母親の1番は……?

なんだろう。

ま、いっか。

あたしには関係ない。

母親は1番分かりにくい人だったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そーいゃ、母親と最後に会ったのは1ヶ月前か。

話したのはもっと前。

ほんとに母娘なのかって思うくらいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とにかく、あたしたち家族はバラバラだった………。

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