05 青紫の純真回路乙女
※GeminiProに書いてもらいました。
第5話 純真回路と青紫の恥じらい
「あー、せいせいした!
もう二度とごめんだよ、あんなヤバいベルト!」
放課後の部室棟裏、
人気のない場所でシャイジャス2号こと黒島ゆみは、大きく伸びをした。
つい先ほど、エンジェラに頼み込んで『精神汚染ギリギリの強化ベルト』を
回収してもらったばかりだ。
シャイジャス1号こと白鳥ゆかなも、
白い制服の埃を払うふりをしながら同意する。
そんな二人の前に、神の使いであるエンジェルスライム、
通称エンジェラがプルプルと体を揺らして現れた。
「まあまあ、二人とも! 強化プランAはちょっと副作用が強すぎたけど、
神様は二人の頑張りを評価してるよ!
そこで今日は、戦力不足を補うための『新戦力』を連れてきたんだ!」
「新戦力?
また変なアイテムじゃないでしょうね」
ゆかなが疑いの眼差しを向ける。
「ちっちっち。
今回はアイテムじゃないよ。カモン、3号ちゃん!」
エンジェラの掛け声とともに、部室の陰から一人の少女が姿を現した。
「は、はじめまして……シャイニングジャスティス3号、起動しました……」
そこに立っていたのは、
未来的な流線型のフォルムを持つアンドロイドだった。
ボディは艶やかな暗い青紫を基調としており、
所々に発光するラインが走っている。
いかにも高性能なマシンといった外見だが、その表情は――。
顔を真っ赤にし、モジモジと指先を合わせ、
今にもショートしそうなほどに恥じらっていた。
「あ、あの、私のような鉄クズが、
お二人のような高潔な正義の味方と並び立つなんて、
その、おこがましいといいますか……!
でも、お役に立てるなら、自爆してでも……!」
「いや重いよ! 設定が重い!」
ゆみが即座に突っ込む。
「紹介するね!
彼女は『対魔害獣用・自律型恥じらいアンドロイド』の3号ちゃんだよ!
恥じらいと正義漢、そして健気さを最大出力でインストールしてあるんだ!」
3号はおずおずと二人に歩み寄ると、
ウルウルの瞳で見つめてきた。
「1号先輩、2号先輩……
どうか、ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします……!」
「せ、先輩……?」
ゆみは悪い気はしないようで、鼻の下をこする。
「まあ? アタシらもベテランの域だし?
面倒見てやんないこともないけど?」
「単純ね、ゆみちゃんは」
ゆかなは呆れつつも、3号のスペックを見定めるように観察する。
(扱いやすそうな子ね。私の引き立て役として利用できれば……)
「なによゆかな!
あんたこそ、その腹黒い計算顔やめなさいよ!」
「誰が腹黒ですって?
私は常に清廉潔白、神に愛される白鳥よ。
あなたのそのガサツさがチームの品位を下げているの、気づかない?」
「はあ!? ガサツじゃなくてワイルドなの!
この色黒ボディの健康美がわかんないなんて、
あんた眼科行ったほうがいいんじゃない!?」
いつものように軽い口喧嘩を始める二人。
すると、3号の電子頭脳がピピピと反応し、その瞳がキラキラと輝き出した。
「ああ……なんて尊い……!」
3号は頬に手を当て、うっとりと二人を見つめた。
「え?」
二人の喧嘩が止まる。
「本音をぶつけ合える信頼関係……
これこそが真の友情、真の絆なのですね!
お二人がどれほど深く愛し合っているか、
私の『幸福検知センサー』が振り切れています!
素晴らしいです、エクセレントですぅ!」
「「はあ?」」
ゆかなとゆみの声が重なった。
「見てください、この波形!
お二人の喧嘩は、まるで高次元の愛の囁きのように調和しています!
私、感動してオイルが漏れそうです……!」
3号は幸せそうに微笑むと、目尻からポロリと冷却水を流した。
どうやらこのアンドロイド、とんでもなく「幸せ」に対して敏感、
かつフィルターのかかった解釈機能を持っているらしい。
「……ま、まあ、そういうことにしておいてあげるわ」
ゆかなはバツが悪そうに髪を払った。
「それでエンジェラ、この子の性能検査はどうするの?」
「うん!
まずは基本の『恥じらい歌唱テスト』と『ヒーロー問答』で、
神様にどれだけ愛されるかチェックするよ!」
エンジェラが即席のステージ(空き箱)を用意する。
「まずは歌唱テスト!
3号ちゃん、正義の心を歌に乗せて!」
「は、はいっ!
……うう、人前で歌うなんて、回路が熱暴走しそうです……」
3号はステージに立つと、マイクを両手で強く握りしめ、
スカートの裾をギュッと掴んだ。
『♪わ、私の胸の~ 正義の~ランプが~』
歌い出しから、声が震えている。
しかし、その震えこそが計算された「恥じらい」の周波数だった。
3号は顔を真っ赤にして、時折客席(ゆかな達)から目を逸らしながらも、
懸命に、健気に歌い上げる。
『♪こ、壊れそうでも~ あ、あなたを守りたいの~……きゃっ(つまづく音)』
何もないところでつまづき、あざとくも可愛らしいポーズで転びかける3号。
『し、失礼しましたぁ……!
うう、恥ずかしい……でも、負けません……!』
「……すごい」
ゆみは素直に感心していた。
「なんかこう、守ってあげたくなる感がすごい」
「(くっ……! あざとい!
ドジっ子属性まで搭載しているなんて、
新型だけあって侮れないわね……!)」
ゆかなはライバル心を燃やす。
歌唱が終わると、空から神々しい光が降り注ぎ、
3号を優しく包んだ。神様も大満足の様子だ。
「合格!
次は『ヒーロー問答』だよ!」
エンジェラが問題を出す。
「問1!
悪の怪人が、街を破壊しようとしています。どうする?」
3号はキリッとした表情(でも頬は赤い)になり、直立不動で答える。
「は、はい!
まずは市民の皆様の避難を最優先し……
怪人さんに対し、なぜそのようなことをするのか、
膝を突き合わせて対話を試みます!
もしかしたら、彼らも寂しいだけなのかもしれませんから……!」
「おおー、優等生」とゆみ。
「甘いわね」とゆかな。
「問2!
それでも怪人が襲ってきたら?」
「その時は……!」
3号は涙目で、しかし力強く拳を握りしめた。
「私のボディを盾にして、先輩方と市民の皆様を守ります!
私の装甲が砕け散ろうとも、皆様の笑顔が曇るよりはずっとマシです!
……痛いのは、ちょっと怖いですが……うう、でも頑張りますっ!」
健気だ。
あまりにも健気で、真面目で、自己犠牲精神に溢れている。
「――完璧だね!」
エンジェラが太鼓判を押す。
「1号、2号、どう?
3号ちゃんは戦力になりそう?」
ゆみは腕を組み、ニカっと笑った。
「まあ、アタシほど強くはないけど?
その根性は認めてやるよ。一緒にやってやろうじゃん!」
ゆかなはフンと鼻を鳴らす。
「……まあ、いいでしょう。
私の完璧な作戦を遂行するための『盾』くらいにはなりそうだし。
それに、あなたのその勘違い……
いえ、ポジティブな思考回路は、見ていて飽きなそうだしね」
「先輩……!」
3号の顔がパァァァと輝く。
「ありがとうございます!
お二人に認めていただけるなんて、私、幸せすぎて……
システムエラーを起こしそうです……!」
感極まった3号は、
二人に抱きつこうとして、勢い余って二人ごと芝生に転がった。
「ちょ、重いって!
あんた鉄の塊なんだから!」
「きゃあ!
私の制服が汚れるじゃない! 離れなさいよ!」
「ああ……先輩たちの体温……
温かいです……ポカポカします……これが友情の温度……」
軽い悲鳴と、幸せそうな電子音が重なり合う。
シャイニングジャスティスに、また一つ、厄介で愛らしい戦力が加わったのだった。




