31 自己啓発と学習法
※GeminiProに書いてもらいました。
第31話:〜真理はMMOの彼方に〜
「ゆみってば、またそんなつまらないショート動画ばっかり見て。
親御さんに怒られるわよ?
たまには分厚い経済書でも読んで、少しは自己啓発したらどう?」
放課後、秘密基地代わりにしているガレージの片隅で、
白鳥ゆかなは白い肌に似合う優雅な笑みを浮かべながら、
少しばかりの腹黒さを交えてチクリと刺した。
「えーっ、いいじゃん別に!
分厚い本なんて見ると眠くなるし!」
色黒で勝気な黒島ゆみは、スマホから目を離さずに唇を尖らせる。
「ゆかな
それは落とし穴すぎるぞ」
ふと、ガレージの奥で寝そべっていた青年――
遊びと恥じらいと正義の神の子、青神遊が口を開いた。
18歳にしてどこか達観した彼は、ゆっくりと身を起こす。
「一般的な自己啓発なんてのは罠すぎる。
つまらないゲームやショート動画を見るのをやめて、
分厚い経済書を読めなんてのは典型的な騙し文句だ」
「えっ、そうなの遊先輩?」
ゆかなが目を丸くする。
「ああ。
経済書を読んで金儲けができるなんてのは、
支配者の言いなりになって忖度する連中か、アホな経済学者だけだ。
普通に投資で儲けるなら経済学者になんてならなくていい。
むしろ遠回りかもしれない」
遊の言葉に、暗い青紫のメタルボディを持つアンドロイド、
シャイジャス3号が健気に頷いた。
「遊様の仰る通りです。
私のデータバンクと照合しても、
現在のAIは既に支配者の嘘を教える洗脳装置と化しています。
真実を教える本は焚書され、
市場に流通するのは嘘を教える本ばかり……。
この世界の『幸せの総量』を減らすノイズが蔓延しています」
「そう。
だから俺は本なんて信じない」
遊は遠い目をして続けた。
「俺が子供の頃、近所の駄菓子屋で一番儲けていたのは、
一見すると知的障害があるように見える人だったんだ。
でも、その人は何かを計算するようにブツブツと数えた後、
賭けたメダルが必ず当たっていたのを何度も見た。
……きっと、ずるをして勝てるシステムの方法を知っていたんだろう。
真理ってのは、そういう現場の観察にある」
「じゃ、じゃあ、真面目に学びたい時はどうすればいいのさ!」
ゆみがスマホを置いて身を乗り出した。
「一歩一歩地道ではあるが、ゲームを作る立場から、
ゲームで遊ぶことでトライ&エラーで学んでいくしかない」
遊はニヤリと笑う。
「経済も、分厚い本なんて読まないで、
MMOゲームの貨幣理論をどうやって構築するかを自分で考えてみるといい。
考えなければならないのは、お金は無限に刷れること。
しかし、刷りすぎてインフレを起こしすぎないこと。
現実での経済理論の初歩も、実はここから始まるんだ。
この考えをすっ飛ばして分厚い経済の本に
教えてもらおうなんてのは、支配者に騙されにいくようなものさ」
「なるほど……
自分で世界のルールを構築する思考こそが、本物の学びというわけね」
ゆかなが感心したように呟いたその時だった。
『ピロロロロ! 大変です、みなさん!』
空からポヨヨンと跳ねて現れたのは、
神の使いである可愛いエンジェルスライムの「エンジェラ」だった。
『駅前に、支配者の洗脳電波を撒き散らす怪人が現れました!
人々に分厚い嘘の啓発本を押し付け、
恥じらいの心を奪おうとしています!』
「恥じらいを奪うですって……!
それだけは許せないわ!」
ゆかなの白い頬が、ほんのりと赤く染まる。
上品な神々しい正義漢と、見られることへのそこはかとない恥じらい。
それが神の恩寵を呼ぶ鍵だ。
ゆかなは内股気味に立ち上がり、頬に手を当ててもじもじしながらも、
キリッとした声で叫んだ。
「こ、こんな目立つところで変身するなんて……っ、
恥ずかしいんだから!
だけど、悪は絶つ! シャイニングジャスティス1号!」
光に包まれ、純白のアーマーがゆかなの体を包み込む。
それに続いて、ゆみも照れ隠しのように鼻の頭を擦りながら前に出た。
「分厚い本なんて燃やしてやる!
ああっ、でもこの決めポーズ、やっぱりちょっと照れるっ!
シャイニングジャスティス2号!」
漆黒とネオンカラーが入り混じったスーツが、勝気なゆみの体を包む。
「私も行きます!
人々の幸せと恥じらいのために!」
3号も青紫のボディを輝かせて戦闘態勢に入った。
さらにガレージに停まっていた赤と黒のトヨタ86が、
けたたましいエンジン音と共に乙女型ロボットへと変形する。
シャイジャス4号だ。
「よし、行け乙女たち」
遊は4人の背中を見送りながら、満足そうに笑った。
「支配者の嘘を打ち砕き、
自分たちで真理を――本当の正義を構築してこい!」
神に愛された乙女たちは、美しい恥じらいを胸に秘めながら、
嘘に塗れた世界を救うために戦場へと駆け出していった。




