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29 文学と迷作

※GeminiProに書いてもらいました。





第29話:文学と迷作


ファミレスのボックス席で、

黒島ゆみは国語の教科書をバンとテーブルに叩きつけた。


「×ロスは激怒した!

 いやー、×ロスってマジ熱いよね!

 友情のために命を懸けて走る姿、まさに正義漢って感じ!

 アタシ、こういうのめっちゃ好き!」


色黒で活発な印象を与えるゆみは、目をキラキラさせて熱弁を振るう。

対面でアイスティーを優雅に飲んでいた白鳥ゆかなは、

色白の肌にふふっと冷ややかな笑みを浮かべた。


「ゆみちゃんって、本当に純粋で……ちょっとアホね」


「なっ、アホってなんだよゆかな!」


「だって知ってる?

 文学の名作といわれるものの中にも、駄作や迷作があるのよ」


ゆかなは腹黒い本性を隠すことなく、楽しそうに語り始めた。


「『走れ×ロス』はね、『人間失格者』を書いた作者だけあって、

 人間失格者が人間性を理解できずに書いたら名作扱いされてしまった迷作なの。

 世のほとんどの人が文学に興味がなく、

 文学に権威を求める人に人間失格者が多いのかもしれないわね」


「えっ……?

 どういうこと?」


「『走れ×ロス』の元になったと言われる、こんな逸話があるの。

 作者がお金もないのに宿屋で酒を飲み食いした後、支払いができず、

 友人を呼んでお金を払うまでの身代わりになってもらうの。

 でも、作者はいつまでたっても戻ってこない。

 なんと、金の支払いを忘れて別の友人と将棋を指して遊んでいたというのよ」


「さ、最低じゃん!!

 友達見捨てて遊んでたの!?」


「ええ。

 現実は、×ロス以外が人間の優しい世界だったという話よ」


ゆかなの言葉に、ゆみは頭を抱えた。

さっきまでの感動を返してほしい。


「やあやあ、面白い話をしているね」


ふと、二人の席に一人の青年が歩み寄ってきた。

遊びと恥じらいと正義の神の子であり、

神の受肉先とも噂される18歳の青年、青神遊だ。


「遊さん!」


「その作者の行いは確かに褒められたものじゃない。

 だが、自身の醜態をさらけ出し、後世にまで語り継がれるほどの

 『恥じらい』の念があったからこそ、

 神は彼に少しだけ微笑んだのかもしれないね。

 もっとも、正義漢としては0点だけど」


遊が爽やかに笑ったその時、二人の足元で「ぷるぷるっ」

と可愛らしい音が鳴った。

神の使いであるエンジェルスライム、通称『エンジェラ』だ。


「ぷるるっ!

 大変ぷる!

 街に恥じらいを忘れた厚顔無恥なモンスターが現れたぷる!

 食い逃げで金を踏み倒して開き直る最低なヤツぷる!」


「タイムリーすぎるでしょ……!」


ゆみは立ち上がり、腰に神のチカラを得られる変身ベルトを出現させた。

ゆかなもため息をつきながら立ち上がる。

この世界は、恥じらいと正義漢が良いとされる神に愛された世界。

上品で神々しい正義漢と、そして何より『恥じらい』が恩寵の鍵となる。


「行くよ、ゆかな!」


「ええ。ちょっと恥ずかしいけれど……これも正義のためよ」


ゆかなは両手で白いスカートの裾を軽くつまみ、頬をほんのりと赤く染める。

もじもじと内股になりながらも、その眼差しには確かな正義の光が宿っていた。

ゆみは黒を基調とした服の胸元を少し隠すように腕をクロスさせ、

「いやんっ」とわざとらしくも初々しい悲鳴を上げてポーズをとる。


「シャイニングジャスティス1号!」

「シャイニングジャスティス2号!」


まばゆい光に包まれ、二人は神の力を行使する魔法少女的戦士へと変身を遂げた。


ファミレスを飛び出すと、そこには暴れ回る借金踏み倒しモンスターの姿が。

「ガハハ! 借りた金は俺のモノ! 友人を盾にしてでも逃げ切ってやるわ!」


「やっぱり許せない!

 アタシが正義の鉄槌を下してやる!」


勝気なゆみが突撃しようとしたその時、空から暗い青紫の閃光が降り立った。

「お待たせいたしました、皆様」

着地したのは、メタルボディのアンドロイド、シャイジャス3号だ。

健気で真面目な彼女は、自分が駆けつけられたという状況だけで、

すでに頬部センサーをピンクに発光させている。

「こうして皆様のお役に立てること、私、とても幸せに感じます……っ」


「3号ちゃん、ありがとう!

 さぁ、一気に行くわよ」


さらに、背後から猛烈なスキール音が響き渡る。

ドリフトしながら現れた赤と黒のボディのトヨ86が、

瞬く間にパーツを展開させ、乙女型ロボットへと変形した。

「ブォォォン!

 シャイジャス4号、推参!

 乙女の恥じらいと正義のエンジン、レッドゾーンまで回すわよ!」


1号から4号まで揃い踏みしたシャイニングジャスティスたち。

「さあ、覚悟しなさい!」


ゆかなが優雅に、かつ少し顔を赤らめながら放つ

『シャイニング・ハニカミ・レイ』と、

ゆみが「見ないでよバカ!」と叫びながら放つ

『ジャスティス・テレカクシ・キック』が、モンスターに炸裂する。


恥じらいと正義の力が込められた技の前に、

モンスターは「恥ずかしいぃぃ!」と叫びながら浄化されていった。


「ふふ、よくやったね」

少し離れた場所から、青神遊がその光景を満足げに見守っていた。

「やはり、恥じらいと正義の心こそ、この世界を美しく保つ最高の芸術だよ」


戦いを終えた少女たちは、少し照れくさそうにお互いを見つめ合い、

今日もまた一つの正義と恥じらいを世界に刻んだのだった。



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