18 VRゲームはエロゲを基本に
※GeminiProに書いてもらいました。
第18話:「VRゲームは、エロゲを基本に」
不正選挙の疑惑が晴れぬまま、
前回の比例投票でなぜか躍進を遂げてしまった『チームみくる』。
彼らは今、政府からちゃっかりもらい受けた多額の補助金を注ぎ込み、
ある一大プロジェクトを進行させていた。
それは、最先端のVRゲーム開発である。
「ねえ、遊。
チームみくるが作ってるVRゲームの噂、聞きました?」
白鳥ゆかなは自身の髪を指に巻き付けながら、艶然と微笑んだ。
白を基調とした制服を上品に着こなす彼女は、
表向きは清楚そのものだが、
その瞳の奥には特大の腹黒さが隠されている。
「あー、アレだろ?
男の都合のいいように、女の子を手籠めにするってヤツ!」
隣で声を荒らげたのは、黒島ゆみ。
黒いパーカーを羽織り、
地黒の肌に健康的な勝気さを滲ませる彼女は、机をバンッと叩いた。
「学園のアイドルだの、ツンデレ不良少女でピアノの才女だの、
メンヘラ美少女だのを、好き勝手に攻略するらしいじゃん!
あんなの、神様が喜ぶ『恥じらいと正義漢』があったもんじゃないよ!
ぶっ潰してやる!」
「まぁまぁ、ゆみちゃん。
暴力はいけませんわ。
……潰すなら、もっと精神的に追い詰める形で、
二度と立ち直れなくするべきですわ」
「ゆかな、お前の方がエグいっての」
「ピー、その通りです。
お二人の恥じらいと正義漢のベクトルが少しズレている気もしますが……
私、皆さんとこうして一つの目標に向かってお話しできるだけで、
とても幸せです」
部屋の隅で暗い青紫のメタルボディを輝かせているのは、
シャイニングジャスティス3号。
健気で真面目、そして些細なことに幸せを感じるアンドロイドだ。
『ブゥゥン……ワレワレモ、セイギノタメニ、シュツゲキ、スルカ?』
窓の外からくぐもった重低音で尋ねてきたのは、
赤と黒のボディを持つシャイニングジャスティス4号。
普段はトヨ86の姿だが、今はロボット形態に変形して様子を窺っている。
「いや、出撃は必要ないよ」
シャイジャスたちを制したのは、青神遊だった。
遊びと恥じらいと正義の神の子であり、
神の受肉先とも目される彼は、
ノートパソコンのキーボードをカタカタと叩きながら不敵に笑った。
「ハッキングしてデータを消しても根本的な解決にはならないし、
今回はあえて正攻法でいく。
あいつらに『本物の神ゲー』の概念を叩き込んでやるんだ」
青神は、チームみくるの開発部署へ一通の「意見書」をメールで送信した。
そこには、青神の熱いパッションと、謎に偏った知識が詰め込まれていた。
『――現在開発中のVRゲームについて、有権者からの提言である。
ただ女の子を手籠めにするだけの浅はかな内容は三流だ。
世界一の人気エロゲ「ホワルバ2」をはじめとする至高の名作に倣い、
以下の内容を吟味し、間違えないように反映させること。
一、学園のアイドルに手を出し、その後好きな子に乗り換えると、
アイドルの弟にボコボコにされるルートを必須とする。
二、ツンデレ不良少女に手を出すと彼女は外国に逃亡し、
プレイヤーが他の子に手を出すと精神がボロボロに
崩壊する描写を入れること。
三、他作品の例に漏れず、メンヘラ美少女に手を出した場合、
なぜか一緒に飛び降りをする結末を用意すること。
これこそが、世界で一番人気のあるエロゲの鉄則である。
恥じらいと正義漢の欠如した現在の仕様では、
間違いなく大爆死するだろう』
「……遊。
あなた、本当に神の子ですの?
送った内容がドロドロしすぎていて、
上品な恥じらいの欠片もありませんわよ」
「ゆかなの言う通りだよ!
なんだよ一緒に飛び降りって! トラウマもんじゃん!」
「フフッ、まあ見てなって。
あいつら、ゲーム開発自体には大して興味ないから」
青神の読みは、恐ろしいほどに的中した。
補助金目当てでゲームへの情熱など皆無だったチームみくるの面々は、
青神の送ったメールを読み、
「なるほど、これが今のオタク界隈の正解か!」と
あっさり鵜呑みにした。
そして適当なリサーチの結果、自分たちの頭で考えるのを放棄し、
意見書の内容をそのまま忠実にVRシステムへ組み込んでしまったのである。
数ヶ月後。
鳴り物入りでリリースされたチームみくるのVRゲームは、
業界に未曾有の激震を走らせた。
下心丸出しでゲームをプレイした男たちは、
次々と絶望の淵に叩き落とされた。
学園のアイドルを裏切った者はリアルな痛覚フィードバックと
共にアイドルの弟(※ステータスが異常に高い)にボコボコにされ、
ツンデレ不良少女の心を弄んだ者は重篤な鬱展開により精神を病み、
メンヘラ美少女に手を出した者は強制的に
VR空間内で果てなき落下を体験させられた。
「ひぃぃっ! 女の子って怖い! もう二度と浮気なんてしません!」
「ごめんなさい、ごめんなさい!
人の心をもてあそぶなんて、僕が間違ってました!」
結果として。
そのVRゲームを遊んだプレイヤーたちは、
尋常ではないトラウマを植え付けられ、
現実世界でも気軽に女性に手を出さない、
人の痛みが心の底からわかる善良な男たちへと更生した。
街には、以前よりもずっと上品で、
神々しい正義漢に溢れる若者たちが増えたという。
「……結果オーライ、ですわね。
少しやりすぎた気もしますが、世の中の平和は守られましたわ」
「シャイニングジャスティス1号に変身するまでもなかったな!
おっそろしく遠回りな教育プログラムだったけど、
いい奴が増えたならいっか!」
「はい。
皆さんが他者を思いやり、正義漢と恥じらいを持って生きる姿……
これを見られることが、私の幸せです」
『ブォォォン! コノセカイニ、ハジライノアル、ヘイワガ、モタラサレタ!』
神の使いであるエンジェルスライムから変身ベルトを授かりし
シャイニングジャスティスの面々と、神の子・青神遊。
彼らの活躍(?)により、
神に愛されたこの世界の「恥じらいと正義漢」は、
今日も無事に守られたのであった。




