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3.獄中の少女

 率直に言おう。私は幽霊である。

 突然何を言い出すのかと思った人もいるだろう。だが、これは事実だ。

 しかし、死んだわけではない。

 何かの拍子に世界を見る『視点』が変わってしまっただけなのだ。

 だから、常人とは住む世界が違う。そんな私達が表の世界に出て行けば、幽霊と呼ばれるのだ。

 表の世界で私達が見える人がいるのなら、その人の『視点』が傾きつつある証拠である。

 面倒なので幽霊の説明はここまでとして、本題に移ろう。

 今現在、私は沖ノ鳥島にいる。といっても裏の世界の、だが。

 裏の世界の沖ノ鳥島はとても大きい。そのため、学校や警察(もどき)、郵便局、コンビニなど、ほとんど表の世界と変わらぬ施設がそろっている。

 だが。

 そこに住む人たちは表の世界とは全くと言っていいほど違う。

 ある人は水道からでる水を自在に操り、氷のオブジェを造る。

 またある人は炎を自らの手から生み出し、暖をとる。

 私達裏の世界の住人はそれぞれがそれぞれの能力をもっているのだ。だが、それゆえの問題もある。能力者たちは、能力を持たない常人がこの世界へ迷い込んできたときに下等であると決め付け、差別をするのだ。

 常人が迷い込むというのは普段は有り得ないことである。ただ、偶々(たまたま)、何らかの理由でこちらの世界のものが見えてしまったとき、空間の歪みが発生し、次元への干渉が起き(これ以上の理論は分からないが)迷い込むことになるらしい。

 実際、そうしてやってくる者たちは1日に2人ほどいる。そして、彼らは私達から見ればとても弱い者たちである。

 だから、能力に驕る者たちは彼らを虐げる。常人は道具同然の扱いで、陵辱は当たり前、賃金無し、休暇無しで1日18時間の労働、死んだらごみ箱に投げ捨てられるという始末だ。

 私はそういうことをする人たちが許せない。

 だから、私は歯向かった。

 でも、相手は何千人単位の軍隊、こちらは1人。

 いくら私の能力が『不死』という珍しいものであっても勝てるわけが無かった。

 そして、今、私は地下牢に閉じ込められている。

 私は死なない。

 だからこそ、苦しい。

 助けを呼んでも来るはずが無い。

 もう、諦めるしかないのだろうか。


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