表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏を記す瞳に君のかけら  作者: 大西さん
序章:灰色の空の下で
80/103

第80話 走り書きの発見

ハーモニカケースを見る。


内側に、何か書いてある。


古い字。


子供の字?


いや、違う。


もっと——


「なに、これ」


ケースの底に、紙が挟まっている。


黄ばんだ紙。


丁寧に開く。


そこには——


『1980年8月16日


音楽室にて。


今日、不思議な女の子と会った。


カナミちゃん。


きっと、遠くから来た人。


もしかしたら——』


ここで、文字が途切れている。


「これ……」


「あれ?」


ヒナタが、覗き込む。


「俺の字じゃない」


「でも、日付が今日」


「偶然?」


違う。


これは——


でも、ありえない。


紙は、明らかに古い。


何年も前のもの。


なのに、日付は今日。


私の名前が書いてある。


「変だな」


ヒナタが、紙を裏返す。


そこに、続きがあった。


『カナミちゃんは、きっと未来から来た人だ。


証拠はない。


でも、分かる。


彼女の瞳は、ここにはない何かを見ている。


だから、この音を残す。


彼女が、未来に持って帰れるように』


■衝撃の真実


震える。


全身が、震える。


「カナミちゃん?」


ヒナタが、心配そうに。


「これ、誰が……」


「分からない」


でも、筆跡が——


よく見ると、ヒナタの字に似ている。


でも、もっと大人っぽい。


まさか。


「ハーモニカケースの裏も見て」


ヒナタが言う。


裏返す。


小さく、文字が刻まれている。


『彼女が消える前に、この音を、彼女の中に残したい


 H.Y. 1980』


H.Y.


ヒナタ・ヤマダ?


違う。


ヒナタの苗字は、田中。


でも——


「変な偶然だね」


ヒナタが言う。


でも、偶然じゃない。


これは、メッセージ。


誰かからの。


もしかして、別の時間線の?


いや、考えすぎ。


でも——

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ