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夏を記す瞳に君のかけら  作者: 大西さん
序章:灰色の空の下で
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第37話 感情の制御

「じゃ、俺バイト」


タケシが、去っていく。


「またな」


「うん、また」


二人になる。


「どこ行く?」


ヒナタが聞く。


「どこでも」


「どこでも?」


「ヒナタが、好きな場所」


ヒナタが、考える。


「じゃあ、もう一か所」


歩き始める。


でも——


また、指が震える。


さっきより、激しく。


フレームを作ろうとすると、もっと震える。


まるで、フレームを作ることを、身体が拒否している。


なぜ?


理解できない。


これは、私の身体。


私がコントロールするはず。


でも——


「カナミちゃん?」


ヒナタが、立ち止まる。


「ぼーっとしてる」


「ごめん、考え事」


「何考えてた?」


「……変化について」


「変化?」


「この町も、私も、全部変わっていく」


哲学的な話になってしまった。


「そうだね」


でも、ヒナタは真面目に答える。


「でも、変わらないものもある」


「何が?」


「思い出とか」


ヒナタが、空を見上げる。


「記憶とか」


記憶。


そう、記憶は残る。


データじゃない、心の中に。


「あと、気持ちとか」


気持ち。


感情。


それは、変わらない?


いや、変わる。


私の感情は、今、激しく変化している。


制御できないほどに。

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