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夏を記す瞳に君のかけら  作者: 大西さん
序章:灰色の空の下で
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第36話 タケシとの再会

「お、ヒナタ!」


声をかけられる。


振り返ると、昨日の少年。


タケシ。


「カナミちゃんも一緒か」


「うん、町案内してる」


「へー、仲いいね」


ニヤニヤしている。


「そういうんじゃない」


ヒナタが、否定する。


でも、耳が赤い。


「どこ行ってきた?」


「学校」


「学校? なんで?」


「カナミちゃんが、見たいって」


「ふーん」


タケシが、私を見る。


「学校、どうだった?」


「素敵でした」


「素敵? あんなボロい学校が?」


タケシが、笑う。


「でも、確かに」


急に、真面目な顔。


「あと何年、あるかな」


「え?」


「生徒、減ってるから」


タケシが、説明する。


「統廃合の話も出てる」


「マジ?」


ヒナタが、驚く。


「まだ噂だけど」


でも、現実味がある。


この町の、人口も減っている。


若い人は、都会へ。


残るのは、老人ばかり。


「俺たちが卒業したら、なくなるかも」


タケシが、冗談めかして言う。


でも、目は笑っていない。


きっと、本当にそう思っている。


私は、知っている。


この学校も、なくなる。


統廃合されて、新しい学校に。


そして、その学校も——


「でも、今はまだある」


ヒナタが、言う。


さっきと同じ言葉。


「そうだな」


タケシが、頷く。


「今を、楽しまないと」


二人が、笑い合う。


寂しさを、笑顔で覆い隠して。

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