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夏を記す瞳に君のかけら  作者: 大西さん
序章:灰色の空の下で
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第27話 監視システムとの通信

腕の量子ビーコンが、振動する。


本部からの、定期連絡。


通信を、開く。


『エージェント・カナミ、状況報告を』


機械音声。HARMONY。


「到着。活動開始」


『記録データ、送信せよ』


データ。


今日の記録。


でも——


ほとんど、ない。


風景を、少し。


建物を、少し。


人物は、ゼロ。


『データ量、不足。説明を』


「初日は、環境適応を優先しました」


『了解。明日から、記録優先で』


「了解」


通信が、切れる。


嘘を、ついた。


環境適応じゃない。


ただ、楽しんでいた。


17歳の夏を。


初めての、夏を。




布団の中で、考える。


明日、どうしよう。


任務を、優先すべき。


でも——


ヒナタとの約束。


10時に、商店街で。


両立、できるだろうか。


彼と一緒に、町を回る。


その中で、記録も取る。


それで、いいのかな。


でも、彼は記録できない。


なぜ?


考えても、分からない。


ただ——


彼を、データにしたくない。


それだけは、確か。


窓から、風。


カーテンが、揺れる。


月光が、部屋に差し込む。


青白い光。


青。


母の青。


思い出す。


2130年のベッドマットレスの裏。


青いコレクション。


今頃、リョウが心配してるかな。


でも——


今は、ここにいる。


1980年の夏に。


本物の青の下に。


そして、明日——


また、彼に会える。


ヒナタに。


太陽のような、少年に。

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