表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

あわてんぼうの毛玉

 カナヨは、勉強があまり好きじゃないのかと思ったけど、意外と一生懸命覚えようとしていた。

 

 

 でもね…

 

 でも…

 

 めっちゃ近いんですよ‼︎

 

 顔が‼︎

 

「あのー…そこは、こうじゃなくてここがさ、こうで…」

「あ、わかったかも‼︎もしかしてここって…こうでこうか!」

 

 いきなり顔を上げてこちらをみるカナヨ。

 

 カナヨがいきなり顔をあげるから、オレたちは…プチハプニングに見舞われました。

 

「「うわぁっ」」

 

 ってね。

 

 

 お互い…顔が近すぎて驚いたよね。

 

 

 でさ…

 

 かすったんですよ。

 

 

 たぶんカナヨの鼻とオレの頬がさ…。

 

 これは、もう…オレにしたら鼻キスなんです‼︎

 

 

 心臓バクバク案件なわけなんですわい。

 

 

 ドドドドドドどどどうしてこうなった⁉︎

 

 こここここれは、なんてこった‼︎‼︎⁉︎ってなわけなんですよ。

 

 

 しかし…

 

 

 カナヨは、フツーに

「あ、ごめん。かすった」

 っていうんですよ‼︎

 

 フツーにさぁ‼︎

 

 電話してる途中に間違って通話切っちゃった感じのノリでフツーにいうんですよ⁉︎

 

 

 そんな…そんなお肌とお肌がかすったのに、そんなあっさりしれーっとごめんとか言えちゃうって…

 

 もうさ、これは…脈なし山脈ですって。

 

 

 意味がわからないけど、でもそんな意味のわからないことを言ってしまうくらいオレは、いま気が動転しております‼︎

 

 

 今すぐここでオレは、盛大にでんぐり返しがしたいです‼︎

 

 したいです‼︎

 

 

「ねぇ遼也、どうしたの?」

 

 …

 

 どうしたもこうしたもあるかい‼︎

 

 って心で言いつつ、言葉にできないでいると、カナヨは

「熱でもあるの?」

 って言いながらオレのおでこに手をのせてきたんです‼︎

 

 

 ちょっと冷たくて細いおててがオレのおでこにのっておるんですわい‼︎

 

 そんなんされたら熱も爆上がりしてしまいそうですよ‼︎

 

 

 平熱から、高熱ですよ‼︎

 

 なんなら、沸騰しちゃうかも?ってなくらいですよね…。

 

 

 

 疲れる…

 

 

 こんなにカナヨに惑わされて、オレは運動でもしてきたんかい?ってくらいの疲労感ですよ。

 

 

「熱なんかないから大丈夫だよ」

 って、カナヨの腕を軽くつかんでおでこから解放いたしました。

 

 

 その腕がまたさー、ホッソいんだよ。

 

 

 オレ…いま枝握ってんのかよ?ってなくらいホッソくって、ほんと…きゃしゃすぎて、オレがずっと守っていくぜって言いたくなるってなもんですよ。

 

 

 やばい…

 

 

 このままじゃ、好きが溢れ出てしまうかもしれません。

 

 どうにか阻止せねばです。

 

 

 

「え、熱がない?それは大変‼︎」

 ってカナヨは言ったかと思えば、いきなりオレを押し倒したんよ。

 

 

 で…

 

 心臓のあたりに耳をくっつけて、

「大変!心臓マッサージだわ」

 ってオレの胸に手を当てて優しくスリスリし出しました。

 

 

「おい、オレ生きてるし」

「しっ、お黙り、毛玉」

 

 毛玉って…

 

 まぁ、お黙りっていうから黙ってたら…今度はさ…

 

「これは危険ね。マウストゥマウスよ」

 となんともいい発音で…

 

 って、そうじゃない‼︎

 

 これは…

 

 このままほんとにキスしてくんじゃね?って、内心ワクワクのドキドキバクバクでしたよ。

 

 だから、くちびるがくるって心待ちにしていたら、まさかの…指で口をつままれました。

 

 

「痛い痛い…」

「おっ、喋った」

「そりゃ、生きてるからねえ」

「しっ!けだまりは、お黙り」

 

 けだまりって…なに?

 

「あのさ、これって…おままごとだよね?」

「まだいうか!おのれ、かまたりめ」

「いや、誰だよ?」

「え?てか、そもそもどちらさんですか?どこ産ですか?」

 

 …

 

「はいはい。小芝居はいいから、そろそろ勉強続けるか」

 と、我にかえるとカナヨも

「あ、そうね。うっかり別世界に迷い込んでいたわね」

 と、我にかえった。

 

 

 このままファーストキスかと思ったぜ。

 

 まったく…。

 

 

 それから、オレたちはなにごともなかったかのようにお勉強を続行したのでありました。

 

 

 

 続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ