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絶望


クラリスは冷たい石の床に膝をつき、鉄格子の向こう側に広がる暗闇をぼんやりと見つめていた。身体の芯まで冷え切った牢獄の空気が、肌にじわりとまとわりつく。鉄格子の感触は冷たく、まるで自分を現実に引き戻すために存在しているかのようだった。


「もう終わりなの?」

その声は、ひどく小さく、かすれていた。


胸の奥で燃え上がるような絶望感が、心を締め付ける。まるで何かに押し潰されるように、息が詰まり、全身に重い鎖が巻きついたかのような感覚が広がった。


視界は滲み、涙が頬を伝う。誰かに救いを求めることも、助けを呼ぶこともできない。自分がどうしてこうなってしまったのか、もうわからない。ただ、かつて抱いていた希望が崩れ去り、今では何一つ信じるものが残っていなかった。


「どうして私がこんな目に…」


悲しみと後悔が胸を引き裂いた。(アルファン)のことを思い浮かべた瞬間、胸が激しく痛む。


彼を愛してしまったこと、それが運命のすべてを狂わせた。自分の中に芽生えた感情を止めることができなかった。もっと早く気づいていれば――彼を救おうなどと思わなければ、今こうして牢獄に閉じ込められることもなかったのに。


「救いたい」


その思いだけが自分を動かしていたが、今となっては、すべてが無意味に思える。


どれだけ手を伸ばしても、彼が振り向くことはもうない。それどころか、振り向いてくれたことなど、一度もなかったのかもしれない。彼の瞳に映っていたのは、いつだって自分ではなかった。


「私なんて、最初から…」と、心の中で呟きながら、クラリスはその空虚さに呑み込まれていく。


全身が鉛のように重く感じられ、起き上がることすらできない。床に倒れ込んだまま、震える身体を丸め、ただ一人孤独と恐怖に押し潰されそうになる。暗闇が広がり、心は深い奈落の底へと沈んでいく。まるで底が見えない深淵に落ちていくような感覚だ。


「「誰か…誰か、助けて…」」


その言葉は、もう誰にも届かないことを彼女自身が知っていた。それでも、心の奥底から無意識に漏れ出てしまった。声はかすれ、冷たい空気に吸い込まれていく。壁に反響するわけでもなく、ただ無音のまま消えていく。ここには誰もいない。自分を救う者など一人もいないのだ。


不意に、胸の奥から込み上げる孤独と絶望が彼女を飲み込み、涙が止まらなくなった。


すべてが虚しく思えた。救いの光はどこにも見当たらず、未来に向かう道さえも失われたように感じられる。目の前に広がるのは果てしない暗闇。遠くで微かに聞こえる滴る水の音だけが、無情にも時を刻み続けている。


「「あああああ…!」 」

クラリスは叫んだ。


誰にも聞かれることのない叫び声が、暗く冷たい牢獄の中に響く。声が枯れるまで、彼女は泣き叫び続けた。声を上げることで、わずかでもこの胸の苦しみが和らぐことを期待して


――しかし、どれだけ叫んでも、孤独と絶望は消え去ることはなかった。


そして、力尽きるように倒れ込んだ彼女の視界は、次第に薄れていく。いつの間にか意識を失い、深い眠りの中へと沈んでいった。それが唯一、彼女に与えられた束の間の救いだった。


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