28/ウッズライト鉱
武器を求めてルレイアと一緒に武器屋に来た。
大樽の中に無造作に突っ込まれたセール品の武器達。その中には冒険者が売った武具が多分に含まれている。
その中でも稀少な金属が含まれているものが狙いである。
そこから希少な金属を抽出する。
その取り出した金属と手持ちの武具の金属を混ぜて、新しい金属を作る。
新しい金属がぼくの武器になるのだ。
まぁ、掘り出し物が無くても別に構わないか。
要は魔力を通しやすい金属で、それなりの強度があれば、刻印魔法で簡易魔剣を作ろうと思っている。
ルレイアに魔力の通りがいい武器を探させている間、ぼくは壁にかけてある武器を眺める。
デザインはどこか無骨で華美な装飾はないはそれなりに質はいい。
近くにあった片手剣を手に取ると、ずっしりと重さを感じる。
二三振ってみるとバランスも悪くない。
「──ふむ」
うなずいて棚に戻した。
悪くはないが、家にあるものの方が圧倒的に質はいい。
「──し、ししよー、ありました」
振り向くとルレイアが持っていたのは折れた大剣だった。
元はかなりデカかったであろうが、刃の部分は半分ほどで綺麗に折れている。
柄の長さから見てもかなり刃の大きい大剣、もしくは剣槍の類だろう。
「おいおい、落として傷つけるなよ」
「大丈夫です。これ、魔力の通りが他とちょっと違うような」
「ほう──貸してみろ」
「あっ」
受け渡す瞬間、手を滑らせて落としてしまう。
床に落ちた元大剣はキイィーンと高い金属音を響かせた。
「おいおい、それでも売り物なんだがな」
「すまない──ほう、これは──」
拾い上げるとそれなりに重いが、思ったよりも軽いという不思議な感触である。
デコピンの要領で刃の部分を弾くとやはり甲高い金属音が響いた。
「店主、これを貰うよ」
「へぇ、兄ちゃんは気づいたかい」
「魔鉄鋼と魔法銀、それとウッズライト鉱だな」
「うむ」
「武器をつくるならウッズライト鉱は申し分ないしな」
「武器を扱うほど鍛えているようには見えないが、詳しいじゃないか」
「そりゃあ、金属の扱いは得意なんでね。ちなみに、これの刃先はあるのか」
「いや、刃先はこいつを折った魔物に刺さったまま持って行かれたらしい」
魔鉄鋼は普通の鉄よりは魔力を通しやすい。
魔法銀は魔力の通りがいいが、基本的にはアクセサリーや魔導士の杖などに用いられている。剣などの刃物にしては物理耐性にやや不安が残る。
鉄に比べると若干柔らかいのである。
ウッズライト鉱は硬度と靭性のバランスがよく、魔法銀には劣るものの魔力の通りが抜群にいい。
それに刻印による付与魔法との相性がいい。
「これを貰っていく」
というわけで、ウッズライト鉱を手に入れた。
鉱石や金属は研究所から持ってきてはいるものの大分少なくなってきている。
一度そこそこの量を仕入れてもいいかもしれない。
ウッズライト鉱と魔法銀の抽出をした結果、思った通りそれなりの量がとれた。
あれだけ高い音を響かせていたのだから当然ベースはウッズライト鉱である。
こうして武器の開発に着手した。
ぼくとルレイアと二人パーティーである。
フォーメーションというほどのものではないが、基本はルレイアが前──つまり前衛がメインである。
基本的にぼくはサポート──つまり後衛がメインのため、使用する基本武装は弓になる。
ぼくたちは魔法による攻撃手段がないため遠距離攻撃は弓を使うのだ。
で。
で、だ。
ぼくが後衛であれば弓と魔導具による魔法攻撃を扱えるというわけだ。
滑車のついた複合弓はいくつか開発済みである。
ルレイアと共に前へ出た時に戦えるものがいい。
普通の剣や思い切って刀を作ろうかと考えたが、扱えなさそうなので却下。
それでも片手で振れるものがいい。
ぼくの家は“風のリリーズ”そう言われていることを思い出して、効果は風魔法をチョイス。
身幅と刃は少し厚めに。
少し反りをつける。
柄を少し湾曲させよう。
刀身は三層構造にする。
魔鉄鋼を芯を魔法銀で包む。さらにそれをウッズライト鉱で包む。
柄はウッズライト鉱と魔物の骨──何の魔物か知らんが──と魔物の革でつくる。
木を使うより魔力の通りがいいものを選ぶ。
まず一振り完成。
「──よしできたな。……うん、うん?」
ルレイアが細剣をを選んだため、万が一にも折れないようなるべく頑丈に、けれども操作性重視という気持ちでつくったからだろうか。
なぜか、剣というより鉈ができている。
「うん、いや、これはこれで──うんカッコイイじゃないか」
久しぶりの金属いじりはとても楽しい。
色々といじりながら装備品を作っていく。
「……これは武器屋をやったほうが儲かるんじゃないか」
まずはこのウッズライト鉱の鉈にどんな効果を付与するか。
そういうことを考えるのはとても楽しい。




