オーウェン
シアーシャ視点の裏側、あるいは身勝手な男の言い訳と後悔の話。
――貴族として生まれたことは幸運でもあり、不運でもあると思っていた。
衣食住に困らないどころか従僕に世話されるのが当たり前の生活。しかしそれには当然、相応の義務が付き纏う。侯爵家嫡男として家督を継ぎ、領地を繁栄させ、次代へと存続させていくこと。それが生まれた時からこの身に課せられた宿命である。そこに自由意思が介在する余地はない。
僕がそのことを本格的に意識し始めたのは、初めての恋が実った後からだった。
「わたし……オーウェン様のことが、だいすき」
「僕もだよ、カーラ。君を心から愛している」
学院で出会った愛くるしい少女からの素直で純粋な告白に舞い上がらなかったと言えば嘘になる。
カーラ・コリンズ子爵令嬢。
柔らかな白金の長い髪に澄んだ湖みたいな蒼の瞳を持つ彼女は、僕の初恋となった。
しかし彼女と僕との間には埋めがたいほどの身分差が存在した。
当然ながらこの交際が暴かれた場合、批難されるのは侯爵令息の僕ではなく子爵令嬢たるカーラの方だ。僕自身、学院では女子生徒たちから衆目を集めている自覚もある。淡い金髪と碧眼で周囲からは整っていると評される容姿や侯爵家嫡男という肩書はそれだけで令嬢たちには魅力的に映るのだろう。
だから僕たちはこの恋を徹底的に隠した。手紙は図書館の奥にある一冊の本に挟んでやりとりをし、待ち合わせ場所も定期的に変え、放課後の短い時間の中で逢瀬を繰り返した。それもまた互いの気持ちを燃え上がらせる要因のひとつにもなっていたのだと、冷静に振り返れば理解できる。
初めから終わることが分かっている恋。付き合い始めの頃は両親を説得できないかと足掻いてはみたものの、けんもほろろにされるうちに僕はカーラとの未来を自然と諦めた。だからこそ、その分、この恋が終わる時までは彼女を誰よりの大事にすると心に誓っていた。きっとカーラも同じ気持ちだと信じて。
要するに僕は若かったのだ。初めての恋に酔っていた。のぼせ上っていた。
だからこの軽率な行動が誰かを傷つけるなんて、想像もしていなかった。
交際開始から数ヶ月は良かった。幸いにも僕にもカーラにも婚約者はいなかったから。
けれども侯爵家嫡男である僕は学院卒業と同時に実践的な領地運営と爵位継承のための準備が始まることが決まっていた。そしてそれに伴い、己の身分に見合った令嬢との婚姻が必須であることも理解していた。
ほどなく僕は父から決定事項として、とある令嬢との縁談を強制された。
――ああ、ついに来たか。カーラ以外なら誰が来ても変わりはないから、せめて性格がまともな令嬢なら助かるな。それにしてもカーラにはなんと言えばいいだろうか。せめて学生時代の間くらいは内密にカーラとの関係を続けられないだろうか。
そんなことを考えながら初めて臨んだ顔合わせの席で。
僕は凛と咲く百合の花のような可憐な少女と出会った。
シアーシャ・ウォルシュ伯爵令嬢。
同じ学院に通っているという彼女の存在に今まで気づいていなかったのは、偏に僕がカーラに夢中だったからなのだろう。それほどまでに彼女は鮮烈な印象を抱かせる美しい少女だった。
白波を打つようなカーラとは対照的な真っ直ぐに落ちる黒髪は艶やかで、長い睫に縁取られた紫の瞳は宝石のような煌めきを放っている。
ともすれば冷たい印象を抱かせるような色合いの少女は、しかしそれを裏切って表情は常に明るく豊かで、朗らかな性格だった。ややつり目がちで大きな瞳がふにゃりと細められるのが可愛い。柔らかい声で控えめに笑うのが耳に心地いい。
乗り気ではなかったはずの初対面から僕は彼女に好感を持った。そしてそれはおそらく、彼女の方も。
当初から罪悪感は、確かにあった。
会えば会うほどにシアーシャは魅力的な女性だと分かったから。
『オーウェン様、その……髪が少し乱れているようですが』
『え!? ごめん、見苦しくて! 待ち合わせに遅れそうだったから急いでて――』
『ふふっ……どうぞお気になさらず。急いで来てくださって、とても嬉しいです』
『私が早く君に会いたかったんだよ、シアーシャ。君が傍に居てくれると凄く穏やかな気持ちになるんだ。たぶん相性がいいんだと思う』
『っ……ありがとう、ございます。私もオーウェン様のお傍に居られるだけで幸せな気持ちになります』
何度目かの茶会の席で、そんなことを言われて。僕はシアーシャに惹かれている自分に気づいた。カーラの時のような激しい熱量ではない。けれども胸を満たす温かさは唯一無二のものだった。
彼女が未来の伴侶になることになんの不満もない。それどころか、これほど相性のいい女性が政略結婚の相手だった己の強運に感謝した。
それと同時に、僕は思い悩んだ。他でもないカーラのことだ。彼女に別れを切り出すことは、想像するだけでも酷く憂鬱だった。きっとカーラは嘆き悲しむだろう。あの美しい瞳からぽろぽろと涙を流し、この世の終わりのような表情をするに違いない。
それを思う度に僕は別れを告げることを先延ばしにする選択を取り続けた。ようするに逃げたのだ。現実問題から。
そして、そのツケを払わされたのは、僕自身ではなく僕の婚約者となったシアーシャだった。
僕もまさかシアーシャとカーラが親友同士だなんて思いもよらなかった。もともと学院は男女でカリキュラムが分かれており接点に乏しく、さらにカーラとの関係を隠すために学院内では意図的に彼女を視界に入れないようにしていた。それが仇となった。
辛くも想像通りに、カーラは身も世もなく泣いて僕に縋ってきた。全身から僕のことを愛しているとぶつけてくるカーラの行動が愛おしくて仕方がない。その気持ちは本物だった。しかし同時に今すぐカーラとの関係を断ち切らなければいけないことは理解していた。
恋人が大事だからといって、婚約者を蔑ろにしていい理由にはならないのだから。
今この瞬間にもシアーシャに見限られるかもしれない。そう思うと背筋が凍りつくような恐怖に襲われる。だからといって抱き着いてくるカーラを無下にもできない。泣いている彼女を慰めたくて、ついいつもの調子で髪や肩に触れてしまう。小さな彼女の震える身体が普段よりも冷たく感じて、それがさらに離れがたさを増長させた。守ってあげなければという庇護欲が湧き出して止まらない。
そんなカーラとは対照的に、シアーシャの方は凛と背筋を伸ばして冷静に話を進めてきた。僕から事情を聞きだした彼女は、悲し気に目を伏せながらも涙は決して流さない。その姿は淑女の鑑と言えるのだろうが、その時の僕からすれば全身で悲しみを体現してくるカーラとの温度差を感じてしまった。
ちょうどその時、腕の中のカーラが僕たちの会話に入って来た。
「待って……じゃあオーウェンはシアーシャとの婚約を望んでたってこと……?」
「それは違う! 僕が愛しているのは君だけだ、カーラ!」
深く考えることなく咄嗟に口から出たその言葉が、今にして思い返せばおそらく決定打だったのだろう。
数秒後にハッとしてシアーシャの方を見れば、彼女の表情から色という色が抜けていた。怒るでも悲しむでもなく、ただその場に立っていた。そして僕らを見つめていた。
そんな彼女に僕が辛うじて言えたことは、この紛れもない事実だけ。
「すまない……私がすべて悪いんだ。どうか、カーラのことは責めないで欲しい」
罵詈雑言を受ける覚悟はできていたが、シアーシャは僕を責めるどころか誰も悪くないとすら口にした。そんなはずはないのに。彼女は最後まで感情的になることはなかった。
そこへ現状を嘆くカーラが僕との恋人関係を解消したくないとシアーシャに強請り、信じがたくも彼女はそれを承諾した。
僕は混乱していた。あまりにも僕とカーラに都合がよすぎる。シアーシャが何を考えているのか分からない。
少なくとも今日ここに至るまでは、彼女から明確な好意を感じていた。しかし今となっては、それが自分の都合のいい妄想だったのかもしれないと思えてくる。だってそうだろう。もし彼女が僕のことを好きならば、カーラとの関係を認めるわけがない。
素直に礼を告げるカーラを抱きしめながら、僕は逡巡した。本当にシアーシャの提案を受け入れていいのかどうかを。それでも嬉しそうにしているカーラを目の当たりにすれば、わざわざそこに水を差すことはできなかった。
結果として、僕はまたしても自分に都合の良い方へと逃げた。そんな中、
「約束していただけませんか。卒業後にひとつだけ、私の願いを叶えてくださると」
最後に彼女が提案してきたこの言葉に、僕はいくらかホッとした。
彼女に僕との関係を継続する意思を感じたから。卒業後ならばひとつだけなどと言わず、いくらでもシアーシャの願いを叶えよう。そして一生をかけて今回のことを償い、彼女だけを愛そう。
僕は静かに胸の内でそう誓った。
それからシアーシャは、あろうことか僕たちの逢瀬の手引きまで引き受けてくれた。
流石に最初は固辞したが、
「お二人の関係が露呈した際に傷を負うのは私も同じです。だからこれは、私のためでもあるのです」
などと言われてしまえば強く断ることもできず。確かにシアーシャの手を借りることが最も安全であるのも事実だったため、僕とカーラは最終的には彼女の提案に甘えてしまった。
この頃のカーラは終わりを意識していたからか、僕に対して今まで以上に強い結びつきを求めてきた。それは口づけだけに飽き足らず、己の純潔すらも差し出してもいいと告げてくるほどで。
しかしその一線だけは絶対に越えてはならないと分かっていた僕は、なんとかカーラを宥めながら愛を囁き、抱きしめ、何度も口づけを交わした。
しかしそうしながらも、心の片隅で僕はシアーシャのことを考えてしまう。
あの日以来、シアーシャとの交流はぱたりと途絶えた。表向きにはこの手引き自体がシアーシャと僕との逢瀬ということになっているため、両家から不仲を囁かれたりはしない。しかし日に日に彼女の気持ちが自分から遠ざかっていくことを僕は肌で感じていた。
なんとか彼女の気を引きたくて贈り物をしたりデートに誘ったりを繰り返したが、一向に手応えは感じられなかった。デートはすべて断られたし、贈り物もお礼の手紙は届くものの、宝飾品などは使用してくれた形跡もない。
卒業が間近になってくると同時に、僕の焦りもより大きなものになっていった。
このままでは拙いことは分かっているのに打開策が思いつかない。それどころかシアーシャの前でカーラと口づけするところを見られてしまうという失態すらやらかしていた。カーラは卒業を控えたこの時期に遠方から断れない縁談が舞い込んだらしく、それが彼女の精神的な不安定さに繋がっているようだった。
終わりは目前に迫っていた。僕はカーラへの恋情よりもシアーシャに向けるそれの方が大きくなっていることに、とっくの昔に気づいていた。それでも卒業まではカーラを優先すると誓った以上、最後まで彼女の傍に居ることを選んだ。カーラがそんな僕をどう思っていたかは分からないが、卒業式の前日に僕たちは最後の口づけを交わし、別れの言葉を告げた。カーラは僕が恋しいと酷く泣いていたけれど、僕はもう彼女を抱きしめることはなかった。
カーラとの恋が終わり学院を卒業した僕は、予定通りシアーシャと結婚した。
豪華絢爛な結婚式で周囲から祝福されながら誓いの言葉を口にする。神への宣誓は紛れもない本心だった。カーラとの仲に区切りがついた今、もうシアーシャ以外を見る気は一切ない。
僕が一番愛しているのはシアーシャだ。もう決して学生時代のような軽挙妄動はしない。これからは完璧な夫として彼女を慈しみ、愛の結晶たる子を生し、幸せな家庭を築いていくのだ――だが、その願望は彼女の口にした約束によりあっけなくも打ち砕かれた。
「私に、貴方以外の方を想う許可をください」
瞬間、全身が燃えるような怒りの感情に支配された。この美しい妻が僕以外の男のものになるだなんて、想像するだけで吐き気がした。到底許せるはずがない。僕は激情を抑えきれず、ベッドの上に彼女を組み敷いた。こんな最低な気分で初夜を迎えなければならないことに憤慨しつつ、不意に、これは彼女の僕に対する罰なのではないかという考えが過る。それならば納得がいく。やはりシアーシャは僕を愛していて、だからこそ僕とカーラの関係が本当は許せていなかったのだろう。
この一年にも及ぶ期間、彼女を蔑ろにし続けてきたのは明白。であればこそ、僕はこれから永遠にシアーシャだけを愛し続ける。そもそも初めて会った時から彼女に惹かれていたのだ。今度こそ決して余所見はしない。
しかし、そんな僕の考えはまったくの的外れだった。
彼女は完全に僕という存在を見限っていたのだ。僕を愛することはできないと告げた彼女の瞳は純粋で透明で美しく――だからこそあまりにも残酷だった。
その瞳にはひとかけらの温度もない。
唯一無二だったあの温かさは喪われ、僅かに遺ったのは義務という政略を介した繋がりだけ。
あやまちに気づいた僕は心から謝罪し、縋り、許しを乞う。だが、シアーシャには届かない。
彼女は淡々と約束の履行を要求するだけ。
ただの政略結婚ならば、今の状況も受け入れられたのかもしれない。
けれど僕はもうシアーシャを心から愛してしまっていた。出会った当初に感じた彼女の柔らかな心が欲しい。身体だけでは嫌だ。苦しい。苦しい。頭がおかしくなりそうだ。どうして僕はあの時、楽な方を選んでしまったんだろう。あの日に戻れるのならば、初恋に酔っていた馬鹿な自分を殴ってでも正気に戻したい。学生の間だけなんていう都合のいい言い訳を並べ、未来を共に歩む相手を蔑ろにすることがどんな結末を招くのか。少し考えれば誰にだって分かるだろうに。
「すまなかった、ゆるしてくれシアーシャ……僕は本当に……君を愛しているんだ……!」
胸に掻き抱いた細い身体は、何の反応も示してくれない。拒絶はされない。けど受け入れてくれているとも言い難い。まるで意思のない人形を抱いているかのようだった。
「さぁ、泣き止んでください旦那様。そして義務を果たしましょう、一緒に」
その言葉を耳にした瞬間、身勝手にも僕の胸は張り裂けそうになる。求められているのは夫としての役割。彼女は結婚式から一度たりとも僕を名前では呼ばず、旦那様と呼称している。もう僕個人には何の期待もしていないという証。それが堪らなく辛かった。すべては自業自得だというのに。
結局その日、僕は泣きながらシアーシャを抱いた。
だって愛しているのだ。彼女の前でなら僕の身体はきちんと反応する。
シアーシャは終始協力的だった。というよりも一秒でも早く事を成したいという気持ちが透けていた。ベッドの中の睦言は悉く流され、ただ義務が果たされるのを彼女は粛々と待っていた。
その行為はあまりにも虚しかった。肉体的な快楽は確かにあったが、精神的な苦痛はそれを遥かに凌駕していた。それでも僕は彼女を抱かずにはいられなかった。肌を合わせ続けることで、もしかしたら何か活路が見いだせるかもしれない。そう浅はかにも考えたのだ。
同時に、僕はなるべく彼女の周囲から男性という男性を排した。僕以外の男を好きになるなど我慢ならない。ならば物理的に彼女に相手を探す隙を与えなければいい。中には女性同士の茶会や侯爵家次期当主の妻としての交流など止められないものもあったが、そういう時もなるべく僕自身が近くにいるようにして目を光らせた。
本当は毎日が怖くて堪らなかった。いつ彼女の口から好きな人ができたと言われるだろうか。その際、僕は相手を憎み殺意を抱かないという自信がない。
これが愛なのか執着なのか、僕自身にも既に判別がつかなくなっていた。ひとつ確かなのは、もうシアーシャ以外の女性を僕が愛することはないだろうということ。
今目の前でカーラが泣きながら現れたとしても、きっとこの心は揺るがない。
「シアーシャ……お願いだ。僕以外の人を好きにならないでくれ……っ」
「旦那様。旦那様はきっと、カーラと離れてしまったことでその穴を私で埋めようとしているだけです。それは私を愛しているのではなく、ただ現状が寂しいだけでしょう」
シアーシャは出来の悪い子供を諭すように、優しい口調でそう言った。僕が何度違うと叫んでも彼女は信じようとはしてくれない。彼女が信じているのは学生時代のあの一年間の日々の光景なのだろう。
どうすればシアーシャの愛が手に入るのか、そればかりを考える日々が続いていた。
そんな折のことだった――彼女が僕の子を孕んだのは。
僕は歓喜した。子は鎹という。もしかしたらこの存在が彼女との関係を変える大きなきっかけになるのではないか。そんな期待が胸を満たしていく。もちろん、彼女との間の芽生えた子がただただ純粋に愛おしいという気持ちもあった。日に日に膨らんでいくシアーシャの腹は、僕にとっては希望そのものだった。
そうして生まれたのは、なんと双子の男女だった。
母子ともに健康そのものであることを神に感謝しながら、愛おしい我が子を慎重に抱く。
ふにゃふにゃと柔らかく温かでいい匂いがした。涙が溢れて止まらない。
それは彼女も同様だったのか、疲れを色濃く滲ませながらも我が子を抱くシアーシャは言葉には表せないほどに美しかった。
改めて僕は彼女に惚れ直していた。この感情が愛でなくてなんだというのか。
「シアーシャ……本当にありがとう。こんなに可愛い天使を二人も産んでくれて」
「いいえ、旦那様。お礼を言うのは私の方です」
そう言ったシアーシャの表情は、かつて見たあの朗らかで柔らかな――僕が欲してやまなかった表情そのものだった。どくどくと心臓が大きく鼓動するのに、何故か冷や汗が止まらない。予感がする。決定的な何かが告げられる予感が。
「ああ――きっと、私はこの子たちに出会うために生きてきたのですね」
愛しているわ、と呟いた彼女の瞳にはもう、僕のことは一切映らない。
何よりも愛しい存在を見つけてしまったから。もともと薄かった僕への興味関心など完全に消失してしまったのだろう。
愛の反対は、憎悪ではなく無関心。
誰かの言葉が脳裏に木霊する。
シアーシャはもともと朗らかで、共感性が高く、情の深い女性だった。
そんな彼女の愛は今、生まれ落ちたばかりの我が子らに向いている。
とても、とても幸せそうだった。
僕の入る余地など微塵もないその様子に胸が痛いほど締め付けられる。
あの日、あの時、選ぶ道を間違えなければ。
きっと彼女と愛し愛される未来は確かにあったのだろう。
どれだけ悔やんでも戻れない過去を思い、愛する人と愛する我が子らの幸福に満ちた室内で僕はひとり――歪む顔を両手で静かに覆った。
【オーウェン視点・了】
シアーシャ視点に対し、たくさんの評価やご感想、ブクマ、いいねなど、誠にありがとうございました!
オーウェンだけでなくカーラ(親友)視点の要望も多くいただきましたので、余裕があればいずれ追加したいなと考えております。
すぐにとはいかないと思いますので、もしご興味がありましたら気長にお待ちいただければ幸いです。
……余談ですが、この後は子供が二人生まれたことでシアーシャはひとまずの義務は終えたと判断し、オーウェンとの閨は拒否して子育てに注力するようです。