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悪友への「絶対会わせない」はフラグ

 西第一高校通称西校は県内有数の進学校である。

 そのため大人っぽくて素行の良い生徒が多く、学校内の雰囲気も落ち着いている。


「あの神宮遙が最近他校の女と会ってるって、噂になってるぞ」


 それでもまぁ高校生だ。他人の噂は大好物。

 その対象が校内でも目立つ神宮遙となると尚更だ。

「俺が誰と会おうとよくない?」

「バーカ。神宮くんはみんなのモノだぞ。それが他校の女に掻っ攫われるとなったら一大事だ」

 ニヤニヤと楽しそうな笑みを浮かべて遙に近づいてきたのは同じクラスの長谷川祐希。

 西校には珍しく髪を明るい茶色に染めている。整った顔立ちとフレンドリーな性格で女子からの人気は高い。当人もよく色々な女の子と遊んでいる。

 遙とは1年の時からの付き合いで気心が知れている。友人、といっても差し支えない悪友だ。

「もしかしてそれで最近女の子によく話しかけられるの?」

「そういうことだな」

 さすがの西校生だけあって無理やり囲まれたり勉強を邪魔されたりといったことはほぼないが、最近やたらと話しかけられるとは思っていた。

 今までも顔見知りの女子生徒と雑談くらいすることはあったが、最近は学年が違う初対面の人にも話しかけられる。

 人当たりがいい祐希と一緒にいる時は確かに知らない顔に話しかけられることが多いが、遙ひとりの時に知らない人に話しかけられることは今まであまりなかった。

 もちろん当たり障りのない対応をしていたけれど、そんな事情があったとは。

「そろそろさぁ、オレにも舞ちゃん紹介してくれていいんじゃね?」

「だから、そんなんじゃないから。あとお前が舞ちゃんって呼ぶな」

「わかってるって。フラグ建築士とかいう謎資格の先生なんだろ。『うちの遙がいつもお世話になってます』って挨拶するからさ」

「謎資格って言うな。絶対に会わせない」

 悪友への「絶対に会わせない」はどうやらフラグだったらしい。



▪️ー▪️



「「……あ」」


 外部の講師を呼んでの講演会の準備のため、珍しく授業が早く終わった。

「週末遊べないなら今日遊べ」と絡んでくる祐希と駅前のショッピングモールに行こうと歩いていたところだった。

 見覚えのある制服。目を離せば人混みに簡単に紛れ込んでいきそうな姿。それでも、易々とは見逃さない程度には関係を築いてきた。

 思い切り正面から目が合ってしまい、舞が気まずそうに会釈をする。隣では咲子が目を丸くしている。

「東校の制服……。もしかして舞ちゃん?」

 無遠慮に舞を指差す人差し指をとりあえず強めに握る。

「人を指差すな」

「イテテテ、はいはいすみませんねぇ」

 人差し指を放してやると祐希は、何故かじりじりと距離を取ろうとしていた舞とあっという間に距離を詰める。舞の肩がびくりと跳ねた。野生動物のようだ。

「オレ遙の友達。祐希って呼んでね」

「えっと、田中です」

「オッケー、舞ちゃんね。お隣は?」

 舞が唖然としている隣で、咲子と祐希は同じようなやり取りをしている。

 舞の仕事の性質上祐希のような騒がしいタイプは苦手なのかも知れない。申し訳なく思って、遙は舞にそっと耳打ちした。

「ごめんね。もしかして仕事中?」

 舞は祐希に距離を詰められた時と同じくらいギョッとして勢いよく首を振る。

「大丈夫。あまりにも華やかな空間に本能的に恐れをなしただけ」

「ふふ。なにそれ」

 舞は眩しそうに一瞬眉間に皺を寄せて、それから「そんなこともあるよ」とヘラリと笑う。

「舞ちゃん時間あったらさ、どっかでお茶してこーよ」

「いや、迷惑だろ」

「遙には聞いてませーん。咲ちゃんは舞ちゃんがいいならいいって」

「2人は何か用事あったんじゃないの?」

 困惑した様子の舞に視線を向けられる。

「ううん。適当に駅前のショッピングモール行こうとしてただけだから。でも迷惑なら断っちゃっていいよ」

「いや、迷惑、では、ない」

 舞の返事に祐希はパァと華やかな笑顔を見せた。

「マジ?ありがとー」

 祐希が馴れ馴れしく舞の肩を抱いて歩き出そうとするものだから、呆れて後頭部をはたく。祐希は渋々と言った様子で遙の隣に並んだ。

 こいつを友達として紹介することになるとは、甚だ不本意だ。


 ついでに舞。視線を向けると咲子となにやらコソコソと話し合っている。

 面倒見がいいのは美点だが、少し押しに弱くはないだろうか。

 自分が資格試験の勉強を見てもらうようになった経緯をもう一度思い出し、棚上げしてからひとり頷く。

 やはり彼女はちょっと押しに弱いようだ。

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