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岬ノ村の因習  作者: 結城 からく


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98/100

第98話 その後

 ニュース番組を放送中のテレビスタジオ。

 カメラ目線で座る女性キャスターは、凛とした顔で原稿を読み進める。


「続いてのニュースです。奇跡の預言者と呼ばれた占い師の星原さんが本日未明に亡くなりました」


 喋りかけたキャスターが固まり、困惑の表情になる。

 原稿をそのまま読むか迷っているようだった。

 何度か逡巡した末、キャスターは意を決して読み始める。


「し、死因は事故死です。えー……自宅に飛行機が墜落し、そこに火山噴火の隕石が直撃した後、氾濫した川の水が流れ込み、落雷と地震に見舞われたそうです……」


 歯切れの悪い口調は、キャスター自身の懐疑心をありありと表していた。

 原稿に記された内容を信じられないのである。

 何か性質の悪い冗談ではないかとすら思っていた。

 裏のスタッフから注意されたのか、キャスターは「失礼いたしました」と呟いてからニュースを続ける。


「星原さんは二年前の岬ノ村事件にて、その実態をインターネット上に明かしたことで一躍有名となりました。事件の直後に設立した団体の会員は現在三万人を超え、占いの予約は五年待ちだったそうです」


 スタジオのモニターに星原の写真が映る。

 澄まし顔は岬ノ村の時と変わらないが、服装が少し豪華になっていた。

 星原は宝石で彩られたローブを華麗に着こなしている。


「星原さんが生前に発信したメッセージが団体のホームページに掲載されています。今からそちらを読み上げます」


 ここでキャスターが間を取る。

 スタジオ内の沈黙に緊張しつつ、キャスターはゆっくりと読み出した。


「歴史に名を残すため、わたくしは己の運勢を前借りしました。結果、一生分の運を岬ノ村で使い果たしました。いずれ大いなる代償を支払うことになるでしょう。それでは皆様お元気で」


 キャスターが顔を上げた。

 どう反応していいのか分からないと言いたげな、なんとも微妙な表情だった。


「……えーと、真偽は定かではないが、不運すぎる最期には違いありませんね。いかがでしょう、佐伯のなかさん」


 キャスターが話を振ったのは、隣に座る番組のゲストだった。

 退屈そうにモニターを眺めていた佐伯は肩をすくめて応じる。


「さあ、本人が言ってるんならそうなんじゃない? 電波系の変人だったけど、占いとか予言はばっちり当ててたし」


 率直な意見を聞いたキャスターはコメントに困っていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] >キャスターが話を振ったのは、隣に座る番組のゲストだった。 >退屈そうにモニターを眺めていた佐伯は肩をすくめて応じる。  どうやら、佐伯ちゃんは芸能界で(今の所)上手くやっているようだね…
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