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岬ノ村の因習  作者: 結城 からく


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第77話 方舟か、泥舟か

 リクとナオはガレージに入ると、すぐに入口のシャッターを下ろした。

 外からの銃撃がシャッターに穴を開けるもすぐに止まる。

 訪れた静寂にリクは安堵する。


「さすがに見えなくなったら撃ってこねえか。弾の無駄になるもんな」


「でもここまで来るかもしれないよ」


「本当だ! どうにかしねえと!」


 リクは自作装甲車の方舟を見上げる。

 そしてニヤリと笑った。


「こいつで突っ込めば銃とか関係ないだろ」


「でも鍵がかかってて開かないよー」


 ナオが運転席の扉を引っ張っているがびくともしない。

 二人はガレージ内の探索を開始した。

 辺りには工具や金属部品が所狭しと置かれている。

 リクはそこから油で汚れた布とダクトテープを手に取った。

 撃たれた傷に布を押し当てつつ、テープを巻き付けて固定する。

 応急処置を施しながら、リクは残念そうにぼやく。


「配信、途中だったのに抜けちまったなあ。あそこから盛り上がるところだったのに」


「あの二人は車に残ってるのかな」


「たぶんそうだろ。撃たれるのが怖くて動けなかったはずだ」


 リクはナオにも同じ処置を施す。

 技術的にも衛生的にも問題のあったが、ひとまず出血を抑えることはできていた。

 肩を回すリクは、気楽な調子で言う。


「まあ別にいっか。配信には十分に出演できたしな。ここからは勝手に楽しむかー」


「いいね! りっ君と二人きりになれて幸せだよぉ」


 その後、二人はガレージ奥のテーブルに置かれた鍵を発見する。

 さっそくリクは運転席に乗り込んだ。

 操作系統の設備に変わった点はないが、フロントガラスをスリット付きの鉄板に替えてあるので視認性が悪い。


「防弾性能はあるし、文句はねえけどなあ」


 リクは鍵を挿してエンジンをかけた。

 重厚な振動が座席から伝わり、ハイビームが前方を力強く照らし上げる。

 リクは今すぐにでも発進させたい衝動に駆られたが、後方からナオに呼ばれたので中断する。


「りっ君! 後ろにもスペースがあるよー」


「おっ、マジか!」


 リクとナオはコンテナを開けて内部を確認する。


 真っ先に目に付いたのは、三脚に固定された機関銃だった。

 左右に一つずつあり、銃身がコンテナ側面のスリットから外に出ている。

 機関銃にはベルト状の弾帯が付いて、弾切れを心配せずに撃ち続けられるようになっていた。


 その隣には銛撃ち銃も用意されていた。

 銛と本体はワイヤーで繋がっており、突き刺した獲物を逃さない仕組みになっている。


 他にも木箱に詰められたダイナマイトや銃器が乱雑に積み上げられていた。

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