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岬ノ村の因習  作者: 結城 からく


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65/100

第65話 訪問撮影

 ペストマスクを着けた有栖川がチェーンソーで村人を惨殺していく。

 解体された死体が地面に散乱していた。

 撒き散らされた鮮血と臓腑があちこちを濡らしている。


 茂みに立つ星原はその様子をスマートフォンで撮影していた。

 配信画面では膨大な数のコメントが追い切れないペースで流れている。


『やばいやばいやばいやばい』


『これ本物?』


『さすがにドッキリだろ』


『めっちゃかっこいい』


『もっと近くで撮って!』


 日本ユーザーの他に国外からのコメントも増えつつあった。

 彼らは有栖川と村人による殺し合いに熱狂し、片時も見逃さないようにしていた。


 ちなみに刑事の安藤もその場にいたが、星原から死角になる場所に潜んでいるため配信には映っていなかった。

 そうでなければスマートフォンを向けた瞬間に星原は排除されていただろう。

 或いはそのような結末を辿らないように、星原は占いで最適な撮影位置を決めたのかもしれない。


 星原はしばらく無言で殺戮を撮っていたが、茂みを抜けて唐突に歩き出した。

 まだ戦闘は終わっていないにも関わらず、彼女は足早に立ち去ろうとする。


「ここは十分のようです。先に進みましょう」


 彼女の判断に視聴者達はブーイングの嵐で応えた。

 罵詈雑言に等しいコメントが怒涛の勢いで投稿されていく。


『おいおい』


『ふざけるな!』


『さっきの戦い見せろ!』


『はやくもどれ!』


『クソ配信者』


 非難轟々のコメント欄を見ても、星原の澄まし顔は崩れない。

 彼女は気にする様子もなく、自信満々に述べる。


「慌てずともさらに過激な光景が待っています。わたくしの占いは絶対です」


『本当かなあー』


『どうせ嘘でしょ』


『星原さんの予言ずっと当たってるから信じる』


『占い外したら服脱いでよ』


 視聴者の反応が割れても、やはり星原は意に介さずに歩き続ける。

 彼女にとって占いこそがすべてであり、他の存在など些末なことに過ぎなかった。


 そうして数分ほど進むと木造の家屋群が見えてきた。

 あちこちに松明やライトが置かれており、周辺の森を照らし上げている。

 誰かの悲鳴や怒鳴り声、笑い声が混ざって聞こえてきた。


 星原は胸を張って言う。


「村が見えてきましたよ。やはり導きは正しかったようですね」


 村の入口で立ち止まった星原はスマートフォンを向ける。

 配信画面に映ったのは世にも恐ろしい光景だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] (※下記の感想は、誤字訂正のため一旦削除して投稿し直したものです)  星原が配信した光景、これぞ阿鼻叫喚の地獄絵図。
[良い点] 視聴者に共感できねぇなぁ。あんなの見せられたらさすがに引くわ… リスナーも岬の村の人間もあんまり変わらない気がする。人間とは思えない事をしててもやっぱり人間なのかな。 犯す事と食べる事っ…
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