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岬ノ村の因習  作者: 結城 からく


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第48話 コンビネーション

 村人を蹴散らした軽自動車が茂みに突っ込んだ。

 草木をクッションにしてどうにか停止する。

 頭を上げたリクは後方を確認する。

 轢殺された村人の死体が転がっていた。

 リクはハンドルを叩いて大笑いする。


「はははっ! 一網打尽にしてやったぞ!」


「りっ君かっこいい!」


「惚れ直したか?」


「うん! もっと好きになった!」


 二人は熱烈なキスをする。

 互いの愛をひとしきり味わったところで、リクは散弾銃を持って車を降りた。


 追突を受けた村人のうち、斧を持つ男が立ち上がる。

 端にいたおかげで車に轢かれず、ぶつかっただけで済んだのだ。

 全身が血だらけで片脚も折れているが、その目は明確な殺意を宿していた。


 リクは男の前に立つと、散弾銃の引き金を引いた。

 しかし弾は出ない。

 何度か試した後、リクは原因に思い至る。


「あっ!? 弾切れじゃん!」


「うおおおおおぉぉぉォォォッ!」


 男が斧を掲げて襲いかかる。

 リクは横殴りの刃を躱すも、素早いタックルで押し倒された。

 その際、後頭部を強打して呻く。


「うぎゃっ」


「生贄ごときが図に乗るな!」


 激昂する男が斧を振り下ろす。

 リクは咄嗟に散弾銃で受け止めた。

 散弾銃と斧の柄が衝突し、刃が鼻先に触れる寸前で止まる。


 間一髪で即死を免れたリクは、渾身の力で押し返す。

 しかし、全体重をかけてくる男には敵わなかった。

 徐々に迫る刃が鼻に当たり、じわりと血が滲み出す。

 リクは泣きそうな顔で抵抗していた。


「んぎぎぎぎぎぎ……」


「りっ君にイジワルしないで!」


 叫ぶナオが走り寄ってくる。

 彼女は男の首を狙って剣鉈を振るう。

 男は手で遮ろうとするも、その指を切断された。

 さらに剣鉈は止まらず、片目を割って食い込む。

 男は斧を離して悶絶した。


「あぎゃあっ」


 リクは男を蹴り剥がし、散弾銃で殴り飛ばす。

 そしてナオとハイタッチをした。


「ナイス! 良い攻撃だったな!」


「えへへ、テニス部の経験が役に立ったかな!」


「俺はサッカー部だ!」


 はしゃぐ二人の前で男が苦しんでいた。

 片目に刺さった剣鉈を掴み、引き抜こうとしていては躊躇っている。

 指が欠損した片手は真っ赤な血を垂れ流していた。


 リクはとどめを刺そうとして、足元に転がる自動拳銃に気付く。

 さっそく拾い上げたリクは、男を狙って引き金を引いた。


 けたたましい音と共に大量の弾丸が放たれる。

 軌道上にいた男は蜂の巣になって死んだ。

 拳銃は数秒とかからずに弾を撃ち尽くし、銃口から硝煙をくゆらせる。

 想像以上の結果にリクは呆気に取られた。


「す、すげえ……さっきのマシンガンはこいつだったのか……」


 その拳銃は違法改造でフルオート式となっていた。

 弾倉も拡張されており、射撃精度を犠牲に瞬間的な火力を獲得している。

 分類的にはマシンピストルと呼ばれる銃器であった。


 リクは二種の銃を掲げて歓喜する。


「よっしゃー! 最強武器ゲットだ!」


「やったね!」


「死体から弾も貰おうぜ!」


「はーい!」


 リクとナオは手分けして村人の死体を漁り始めた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 安定したハイペース更新、ありがとうございます! [気になる点]  佐伯ちゃんの安否。  殺戮バカップルに車で追突された際のダメージが自力回復できないレベル(脳挫傷とか内臓破裂とか)なら、こ…
[気になる点] 男は手で遮ろうとするも、その指を切断された。 1発で切断は結構技術が要るはずだけど、もしかしてナオ経験者?
[良い点] 改造物が偶然手に入る確率はかなり低いだろうに一般の村人にも支給されてるってことは村人に銃を改造できる人間がいる可能性が高い…しかも改造にはパーツとかがいるだろうからその調達のために人間社会…
感想一覧
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